【ドラフト総括】新様式ドラフト 試された成長過程の高校生の判断 新たな発掘も

[ 2020年10月26日 21:00 ]

プロ野球ドラフト会議

<プロ野球ドラフト会議>各チームの1位指名が映し出されたモニタ(C)NPB/BBM2020 
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 新型コロナウイルスの感染拡大は、今年のドラフト戦線にも大きな影響を及ぼした。春夏の甲子園が史上初めて中止になるなど、アマチュア選手は実戦機会が激減し、プロ野球のスカウトたちは判断材料の減少に苦しんだ。アマ担当キャップの松井いつき記者が、特別な1年を総括した。 ドラフト速報

 今年は例年以上に、現場スカウトの「目」が試されるドラフトとなった。春夏甲子園、全日本大学選手権、社会人日本選手権など、多くの全国大会が中止。夏以降、高校野球の独自大会など球音は徐々に戻ったが、移動制限でスカウト活動自体ができなかったり、複数の目で評価する「クロスチェック」を取りやめた球団もあった。ある編成幹部は「上位候補は直接見るが、中位クラスは担当スカウトの目を信じるしかない」と本音を漏らす。

 特にスカウトから悩ましい声が挙がったのが、成長過程にある高校生への評価だ。DeNAの吉田孝司顧問兼球団代表補佐は「いつもは2、3回見る機会があるが、今年は1回しか見られていない選手も多い。高校生の評価が非常に難しい」と明かす。一般的に高校生は2年の秋までにチェックし、3年春の時点でリストを作成。その後、夏の地方大会や甲子園で最終チェックを行い、絞り込む。あるスカウトは「全国大会は選手同士を比較したり、各スカウトそれぞれの目線で評価を行う場だが、それができなかった。まだ埋もれている選手がいるかもしれない」と話す。

 1位指名された高校生は3人。最近では10年に並ぶ少なさだ。元々、大学生に逸材が多い年ではあったが、活躍次第で「スター性」や「知名度」などの付加価値がつく春夏の甲子園がなかったことも影響した。その中でソフトバンクは1位で近大・佐藤の抽選に敗れたものの、5人全員が高校生。素材重視のドラフトとなった。

 一方、デメリットばかりではなかったのも事実。セ・リーグのスカウトは「志望届提出後の面談ではコロナ禍の自粛期間どうしていたかを全員に聞いた。うちは選手の主体性を大事にするので、有効だった」と話す。自粛期間を有効に使った早大・早川らは秋にさらに成長を遂げ、1位競合するまでになった。

 また、8月下旬と9月上旬には、NPBと高野連がタッグを組み、プロ志望の高校生による画期的な合同練習会が計4日間、甲子園と東京ドームで開催された。それまでは無名だった選手も「発掘」された。

 様々な苦労や制限を乗り越えて迎えた10月26日。スカウトにとっても「特別なドラフト」となった。(松井 いつき)

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