侍・栗山監督「選手たちが追いつくと信じていた」吉田の代走周東がズバリ 分析と対話の徹底が劇勝呼んだ

[ 2023年3月22日 04:00 ]

WBC準決勝   日本6―5メキシコ ( 2023年3月20日    米・マイアミ )

<日本・メキシコ>9回、サヨナラ打を放ち栗山監督と抱き合う村上(中央)(撮影・光山 貴大)
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 信じて、信じて、信じ抜いた。劇的な逆転サヨナラ勝ち。歓喜する選手たちを、栗山監督はまぶしそうに見つめた。

 「大事な試合になるほど最後のイニングは難しくなる。必ず最後にチャンスがあると、選手たちが追いつくと信じて見ていた」。1点を追う9回。大谷の二塁打から無死一、二塁とすると、迷わず一塁走者の吉田に代走の周東を送った。同点止まりなら延長10回からはタイブレークに入る。それでも、4番打者を代え“足の切り札”を起用。追いつくだけではない。逆転を信じた勝負手だ。その信頼に応え、村上の一打で抜群のスタートを切った周東は悠々とサヨナラのホームを陥れた。

 栗山監督は大会前に言っていた。「選手を送り出して“頼む、打ってくれ”とか“抑えてくれ”とかベンチで絶対に思わない」。必ず打つと信じ、絶対に抑えると信じて送り出す。そこには信じるだけの準備もある。相手を徹底的に分析し、選手の状態を着実に把握し、選手が最大限の力を発揮できるように環境を整える。選手と対話を欠かさないのはそのためだ。監督就任後の一昨年12月、尊敬する名将・三原脩氏の墓参りをした。「三原さんに“どんな状況に追い込まれても手を打つ準備をしておけ”と言われた」。土壇場で選手を信じて最善の手を打てたのは、名将の言葉のおかげだ。

 そんな名将をはじめとする野球界の先人たちの夢が、野球発祥の国・米国を倒すことだった。「日本の先輩方やメジャーで活躍した選手たち、いろんな思いを含めて、日本野球がメジャーに近づくために、こっち(米国)に来てアメリカを倒さないと前に進まないと思っていた」。その米国と世界一を懸けて戦う決勝。栗山監督は信じる侍たちと、命懸けで勝負を挑む。(秋村 誠人)

 ≪過去のWBC米国戦≫☆06年3月12日(2次ラウンド)日本は初回にイチロー(マリナーズ)の先頭弾、2回に川崎(ソ)の2点適時打で3点先制も、3―1の6回に2番手の清水(ロ)が2点を失い3―3の同点。8回には1死満塁から岩村(ヤ)の左飛で三塁走者の西岡(ロ)がタッチアップ。犠飛で1点勝ち越しかと思われたが、西岡の三塁離塁が早かったと球審が判定を覆し併殺に。9回には藤川(神)がサヨナラ打を浴び3―4で敗れた。

 ☆09年3月22日(準決勝)日本は1―2で迎えた4回に打者9人、5安打の猛攻で一挙5点を奪い逆転すると、8回にも3点を追加。投げては先発の松坂(レッドソックス)が5回途中2失点の力投で勝利投手となり、9回は5人目のダルビッシュ(日)が締め9―4で決勝進出を決めた。

 ☆17年3月21日(準決勝)日本は4回に菊池(広)の失策で出塁を許すとマカチェンに適時打を打たれ先制点を献上。6回にその菊池のソロで同点とするも、8回1死二、三塁から松田(ソ)が三ゴロの打球処理をもたつく間に勝ち越され1―2で敗れた。

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2023年3月22日のニュース