能代松陽・森岡が完封一番乗り プロ注目右腕“厳しい冬”越えて進化…無四球12K117球熱投

[ 2023年3月22日 05:20 ]

第95回選抜高校野球大会第4日・2回戦   能代松陽3-0石橋 ( 2023年3月21日    甲子園 )

<能代松陽・石橋>完封勝利を挙げ、雄叫びをあげる能代松陽・森岡(撮影・須田 麻祐子)
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 イメージはできていた。9回2死。能代松陽(秋田)・森岡は外角高めに直球を投げ込み、空振り三振で試合を終わらせた。117球で今大会の完封一番乗り。内野安打2本で、12三振も奪い「最後は三振を取りにいきました」と胸を張った。

 序盤から右腕を振った。初回は先頭から2者連続三振を奪う抜群の立ち上がり。2回は、この日最速の141キロをマークした。今春のテーマは「球数を減らし、9回を投げ抜く」こと。無四球での完封に自身の進化を感じ取っていた。

 およそ3カ月、雪がグラウンドを覆う冬季は室内でシャドーピッチングを反復。左足を真っすぐに踏み出すことを強く意識した。短距離ダッシュで鍛えた下半身主体のフォームをつくり上げ、球威と制球力は格段にアップ。厳しい冬を越え、春の大舞台で実践した。

 選抜初出場での白星に貢献し、先輩、そして同校OBの兄の雪辱も果たした。昨夏の甲子園1回戦・聖望学園(埼玉)戦に2番手で登板も4回5失点。「去年ここで勝てなかったので…」と悔しさを白球に込めた。兄・大翔(やまと)さん=函館大=はコロナ禍で秋田県の独自大会出場にとどまったが弟は聖地で校歌を歌った。

 3回戦は昨春王者の大阪桐蔭と対決する。エース右腕は「全員で向かっていけば勝てると思っている」と臆することはない。工藤明監督も「日本一を目指しているチームと戦えることは幸せ」と意気込む。秋田の公立高の甲子園での躍進は18年夏に「金農旋風」を巻き起こした金足農が記憶に新しい。まずは強敵から金星を狙う。(伊藤 幸男)

 ≪2桁奪三振での無四球完封は県勢初≫能代松陽の森岡が12奪三振で無四死球完封勝利。2桁奪三振での無四死球完封は21年に東海大相模・石田が福岡大大濠戦で記録して以来。秋田県勢の選抜完封勝利は04年甲府工戦の秋田商・佐藤剛士以来19年ぶりで、2桁奪三振での無四死球完封は県勢初となった。

 ◇森岡 大智(もりおか・だいち)2005年(平17)12月25日生まれ、秋田県出身の17歳。合川小3年から合川ニュースターズで野球を始め、合川中では軟式野球部に所属。能代松陽では2年夏に甲子園初出場、同年秋から背番号1。憧れの選手は楽天・田中将。50メートル走6秒3。遠投90メートル。1メートル84、81キロ。右投げ右打ち。

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