村神様生き返った!逆転サヨナラ打 侍初全勝V王手!いざ14年ぶり世界一奪還へ日米決戦

[ 2023年3月22日 04:00 ]

WBC準決勝   日本6―5メキシコ ( 2023年3月20日    米・マイアミ )

<日本・メキシコ>サヨナラ勝ちに歓喜の村上(中央)、ダルビッシュら侍ジャパンナイン(撮影・会津 智海)
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 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンは20日(日本時間21日)、準決勝でメキシコに逆転サヨナラ勝ちし、3大会ぶりとなる決勝に進出した。1点を追う9回無死一、二塁から5番の村上宗隆内野手(23)が中堅フェンス直撃の2点二塁打。不振の主砲が土壇場で試合をひっくり返し、2大会続けて涙をのんできた4強の壁を突破した。21日(同22日午前8時開始)の決勝で前回覇者の米国と3度目の世界一を懸けて対戦する。

 神様ではなく「人間・村上」が、決勝進出へと導く逆転サヨナラ打を放った。二塁を蹴った勢いのまま、ヘルメットを放り投げる。絶叫する。現地の中継は「歓喜のウイニングラン」と実況。もう、もみくちゃだ。

 「何度も三振をして、何度も悔しい思いをした。最後は僕が決めたが、チーム一丸となった勝ちだと思う」

 今大会で「村神様」の姿はなかった。走者を置いて3打席連続で三振し、1人で計4人も走者を無駄にした。練習から圧倒的な飛距離を誇る大谷を意識してか、次第に過度な力みで狂いが生じた。打率は最終打席を前に・190に落ちていた。

 1点を追う最終盤に「バントも頭をよぎった」。大谷、吉田が出塁した9回無死一、二塁。だが栗山監督の判断は違った。城石内野守備走塁兼作戦コーチの伝言は「お前に任せた、思い切って行ってこい」だった。7回は次打者席で山川が準備しているのが見え「代打かな」と思った。今度は「やるしかない。腹をくくった」。四球を選んだ直後の吉田には“お前が決めろ”とばかりに指をさされた。メジャー通算234試合登板で昨季14セーブのガエゴスから、中堅フェンス直撃の二塁打で試合を決めた。

 小学校の卒業文集に「WBCに選ばれて世界で活躍したい」と書いた。9歳だった09年第2回大会の決勝は公園で友人と携帯電話のワンセグで観戦。「イチロー選手のタイムリーを見て感じた思いもある。最高の一打になった」。極度の不振を乗り越え、同じ中堅方向にV打。当時イチローは「神が降りてきた」と言った。14年の時を経て2人が重なる。やっと「村神様」が降臨した。村上は「打った時は“入るんじゃないか”と思った。パワーがなかったので失速した」とおどけた。

 栗山監督は「野球、すげえなって。やっている方が感動した」と抱擁。記者会見で目を潤ませる場面もあった。4番から5番に下げたが、先発からは外さなかった。日本選手最多56本塁打を放った最年少3冠王に「世界がびっくりするようなバッター。僕が証明したい」との思いがある。

 悲願の世界一奪還を懸け、前回大会では準決勝で敗れた米国と戦う。村上は「このチームでできる最後。最高の決勝戦にしたい」と誓った。まだ今大会はノーアーチ。指揮官からは「最後は、お前で勝つ」と言われている。(神田 佑)

 ≪インスタで#正尚さんが神≫村上はヒーローインタビュー中、スポーツドリンクを容器ごと佐々木朗と山本に頭から浴びせられるメジャー流の祝福を受け「寒いです。着替えたい」と笑った。自身のインスタグラムでは、タオルを肩にかけたまま大谷と2ショットでガッツポーズするロッカールームの写真を公開。「#(吉田)正尚さんが神」、「#(大谷)翔平さんは仙人」と記し、「村神様」と呼ばれる自身については「#村上はよーわからん」と添えた。

 ≪WBCの最高試合≫大リーグ公式サイトは、「WBCのベストゲーム10傑」と題した特集記事を更新し、日本―メキシコの準決勝を1位に選んだ。これまでは、イチローが延長10回に決勝打を放った09年の日本と韓国の決勝が1位。記事では「全ての要素を備えたシーソーゲームだった」と形容された。

 ≪初のサヨナラ勝ち≫日本が逆転サヨナラ勝ちで決勝進出を決めた。今年のWBCでは初のサヨナラ試合。日本は優勝した06年の第1回大会2次ラウンドの米国戦でサヨナラ負けを喫しているがサヨナラ勝ちは初めて。また、ここまで日本は6戦全勝。13年のドミニカ共和国(8戦全勝)以来、WBC史上2度目で侍ジャパンとしては初の全勝優勝が懸かる。

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2023年3月22日のニュース