「選手の役に立ちたい」マネジャーに転身した龍谷大平安・平野君が見つけた新たな夢

第95回選抜高校野球大会第4日・2回戦   龍谷大平安4―3長崎日大 （ 2023年3月21日    甲子園 ）

龍谷大平安マネジャーの平野心琉君
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　【いっちーの球春胸キュン日記】龍谷大平安のアルプスには原田英彦監督が最も信頼を置く部員がいます。マネジャーの平野心琉（ここる）君（3年）です。1メートル85の大型右腕として入学も、たび重なるケガに泣かされました。1年の9月に右膝を手術。12月に復帰も、今度は左膝が悲鳴をあげて手術し、半年以上もプレーできませんでした。

　転機は昨年8月。指揮官から「マネジャーはどうか？」と提案され、「少し考えさせていただきます」――。複雑な心境を、すぐには整理できませんでした。その日の夜に家族会議。「投手としては少し難しいかも。何かを頑張っていかないとという気持ちはあった」という平野君に、母・久美子さんも「支えるのもいい仕事になるんじゃない？」と背中を押してくれました。

　打診から1週間後に決断を伝え、マネジャー生活がスタート。最初は右も左もわかりませんでしたが、今では指揮官から相談を受けることも…。成長したマネジャーには、粋なプレゼントも用意されていました。開会式でのプラカード担当。甲子園の土を踏みしめ、「すごく特別な場所」と聖地を感じました。

　夢は理学療法士。「選手の役に立ちたい」と、マネジャーへの転身を通じて新たな夢を見つけました。仲間たちは7回に逆転し、初戦突破。聖地での全力サポートは、まだまだ続きます。

　◇市川　いずみ　京都府出身のフリーアナウンサー兼ピラティスインストラクター。山口朝日放送時代に高校野球の実況で「ANNアナウンサー賞最優秀新人賞」を受賞。今春に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程を修了。野球選手の障害予防が専門。