38年ぶり甲子園に鳴り響いた「清原」コール 初めての短い春は、きっと長い最後の夏につながる

[ 2023年3月22日 07:20 ]

<仙台育英・慶応>3回2死二塁、慶応・清原は二ゴロに倒れる(撮影・北條 貴史)
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 18日に開幕し、連日熱戦が繰り広げられている第95回選抜高校野球大会。今大会から声出し応援が解禁となり、甲子園にもコロナ以前の姿が戻ってきた。元球児だった記者にとって甲子園は何年たっても憧れであり、アルプス席からの大声援を受けて立つ打席はどんな気持ちなのだろうか。

 大会第4日(21日)の第3試合、仙台育英(宮城)―慶応(神奈川)の一戦で今大会、ここまでで一番の声援が送られた。「5番・三塁」で出場した清原勝児内野手(2年)の打席だ。父はPL学園(大阪)時代に甲子園歴代最多13本塁打を放ち西武、巨人などで活躍した清原和博氏(55)。この日は父が高3夏に日本一をつかんだ85年以来、38年ぶりに響いたアナウンスの「清原」コールに、多くの高校野球ファンから拍手が送られていた。

 父の指定席「4番」とまではならなかったが、清原が立った5番はまさに努力でつかんだ打順でもある。レギュラーに定着したのは昨秋。打撃より、課題だった守備が安定したことが評価され、打順は主に6、7番だった。だが、オフの振り込みの成果が今春は結果としてはっきり表れた。昨年までは高校通算8本塁打だったが、今年に入り練習試合では7試合で3本塁打。長打率も・625と覚醒の兆しを見せており、一段と鋭くなったスイングと、父譲りの勝負強さも兼ね備えた打撃で中軸の5番をつかんだ。

 初めての甲子園出場となったセンバツは惜しくもサヨナラ負けで初戦敗退。単位不足の影響で2度目の1年生を過ごしたことで、清原にとって甲子園を目指せるチャンスは夏が最後となる。父が多くの高校野球ファンを魅了した甲子園について「本当に凄いところだった。夏、必ず戻ってきたい」と語った清原。この日味わった悔しさをバネに、さらに成長した姿で勝負の夏に帰ってきてほしい。(記者コラム・村井 樹)

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