栗山英樹監督 マイアミの夜空に世界一の10度舞い! 「信じる力」で侍戦士導いた

[ 2023年3月22日 12:07 ]

WBC決勝   日本3―2米国 ( 2023年3月21日    米・マイアミ )

<日本・米国>優勝し胴上げされる栗山監督(撮影・会津 智海)
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 侍ジャパンが14年ぶりに世界一を奪回した。第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は21日(日本時間22日)、米マイアミの「ローンデポ・パーク」で決勝戦が行われ、日本は3―2で米国を下し、09年第2回大会以来、3大会ぶりの世界一となった。13年のドミニカ共和国以来、大会史上2度目となる全勝優勝だった。

 栗山英樹監督は最後まで信じぬいた選手たちの歓喜の輪に加わった。就任から何度イメージしてきただろう。たくましすぎる選手たちと抱き合い、喜びを分かち合った。金メダル、そして世界一トロフィーを持つと「重い」ともらした。そしてマウンド付近で、ナインの手で10度舞った。

 決勝戦でも選手を信じた。先発の今永から、戸郷、高橋宏と若い投手陣をつぎ込み、伊藤、大勢と細かくつないでいく。そして8回にはダルビッシュ、9回には大谷と、自らの世界一奪回、日本野球の未来のために思いを伝えた2人を送った。

 打撃では不振を極めた村上を信じた。準決勝のメキシコ戦での逆転サヨナラ打に続き、決勝戦の第1打席では右越え同点弾。輝きを取り戻させた。右手小指を痛めた源田は分厚いテーピングを巻いて出場した。ベンチには無念の出場辞退となった誠也、栗林のユニホームが選手を後押しした。

 栗山監督は大会前に「選手を送り出して“頼む、打ってくれ”とか“抑えてくれ”とかベンチで絶対に思わない」。必ず打つと信じ、絶対に抑えると信じて送り出す。そこには信じるだけの準備もある。相手を徹底的に分析し、選手の状態を着実に把握し、選手が最大限の力を発揮できるように環境を整える。選手と対話を欠かさないのはそのためだ。監督就任後の一昨年12月、尊敬する名将・三原脩氏の墓参りをした。「三原さんに“どんな状況に追い込まれても手を打つ準備をしておけ”と言われた」。土壇場で選手を信じて最善の手を打てたのは、名将の言葉のおかげだ。

 そんな名将をはじめとする野球界の先人たちの夢が、野球発祥の国・米国を倒すことだった。「日本の先輩方やメジャーで活躍した選手たち、いろんな思いを含めて、日本野球がメジャーに近づくために、こっち(米国)に来てアメリカを倒さないと前に進まないと思っていた」。世界一を懸けて戦う決勝で、本気の米国を打ち破った。

 日本野球界の悲願、世界一をマイアミの地でなしとげた。

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