JFE東日本・猪田9回サヨナラ満弾「回ってくるなら2死満塁かな」プラス思考のつぶやきが現実に

[ 2019年7月20日 16:06 ]

第90回都市対抗野球大会第8日 3回戦   JFE東日本(千葉市)6―2明治安田生命(東京都) ( 2019年7月20日    東京ドーム )

<JFE東日本・明治安田生命>9回2死満塁、JFE東日本・猪田(左奥)は左越えにサヨナラ本塁打を放ち大喜び (撮影・西川祐介)
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 左翼席上段へ弾む打球に夢見心地でベースを周ると、応援席の「猪田コール」に促され、ヒーローインタビューに臨んだ。チームを8強一番乗りへ導く劇弾。猪田和希捕手(19)は「最高に気持ち良かった。サヨナラ満塁弾なんて生まれて初めて」と声を詰まらせた。

 2点を追う9回。悲壮感漂うベンチでがつぶやいた。「自分に打席が回ってくるなら2点追いついて2死満塁かな」。周囲は苦笑いしたが、まさか現実になるとは…。捕手らしく相手の投手起用も計算済みだった。「自分の前2人(中沢、鳥巣)は左だから、左投手に交代するはず。左なら打率5割を超えている」。初球は豪快な空振りも6球目のスライダーをフルスイング。「最初はバットとボールが離れていたけど、自分のスイングが出来たから大丈夫」。究極のプラス思考が土壇場で発揮された。

 神戸国際大付から入社2年目。大卒ルーキーの峯本匠内野手(23)、平山快内野手(23)、岡田耕太内野手(22)が関西出身とあり、練習後はテレビドラマを一緒に見て盛り上がっているという。その関西トリオが9回単打でサヨナラ劇をお膳立て。「背中で見せてくれた」先輩に応えた。

 チームは12年の4強以来、7年ぶりの快進撃。「元から力はあったが、頭を使う部分で成長した」。猪田を称えた落合成紀監督(36)は「若いチームなので逆転から実績を超える実績をつくることで、選手が成長を感じている」とナインを見つめた。「監督が掲げる“超攻撃野球”が出来る選手がそろっている。若い力を存分に見せたい」と猪田も語気を強めた。

 ◇猪田 和希(いのだ・かずき)1999年(平11)8月20日生まれ、兵庫県出身の19歳。小1年から投手兼捕手で野球を始める。神戸国際大付3年春夏に「4番・捕手」で甲子園出場。夏は3回戦で天理にサヨナラ負け。同試合で猪田は同点の8回1死満塁で三ゴロ併殺打に倒れた。高校通算28本塁打、社会人通算は9本塁打。1メートル75、90キロ。右投げ右打ち。

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