西武 おかわり独占手記、史上20人目400号 昨年はどん底…夫人に「引退するかも」

[ 2019年7月20日 05:40 ]

パ・リーグ   西武5―4オリックス ( 2019年7月19日    メットライフD )

11回1死、通算400号をサヨナラ本塁打で決めた中村はボードを手にファンの歓声に応える(撮影・尾崎 有希)
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 劇弾で決めた。西武の中村剛也内野手(35)が19日、オリックス戦で延長11回に左翼スタンドへ今季15号のサヨナラアーチ。史上20人目となる通算400号を放った。レギュラーに定着した08年以降で初めて絶不調に陥った昨年は、家族に引退の可能性を伝えるほど悩んだが、苦境を乗り越え、今季86試合目で放った節目の一発。スポニチに独占手記を寄せ、ホームランへの思いや周囲への感謝など胸中を激白した。

 11回は、正直、何も考えてなかった。久しぶりに芯に当たった。シーズン前からあと15本。本当はあっという間に打ちたかったけど、打ててよかった。

 ホームランは自分にとって野球の醍醐味(だいごみ)。ファンも喜んでくれる。でも喜びは一瞬だけ。それはプロ1号も400号も同じ。だから感想を聞かれても「打ててよかった」。それだけ。「思い出の一本は?」と聞かれても答えは「ない」。これが最後の試合、最後の打席ではないから選べるはずがない。次が思い出の一本になる可能性もある。

 過去を振り返るのは得意じゃない。でも去年は6月上旬までホームラン0本。想像もしてなかった。年齢を重ねることで体は変化してるのに、それに気づかずオフも同じことをしていた。16、17年も一発が少なかったし(21、27本)、危機感は大きかった。4月下旬から1カ月間の時間をもらって2軍で調整したけど全く本調子にならない。6月下旬だったと思う。家で嫁さん(麻里恵夫人)に「今年で引退するかも」と伝えた。返事は覚えてない。それぐらい精神的にどん底だった。

 試合は残っていたから引退するにしても、やるだけのことをやろうと思った。バットも坂本(巨人)や平田(中日)のモデルを試して合うものを必死に探した。当時の自分のロッカーはスポーツ店みたいにバットが並んでいた。やっと7月末に理想に近いイメージがつかめて940グラムだった重さを一気に890グラムまで軽くして、長さも33・5インチから34インチに伸ばして、8月は(12本塁打で)月間MVPも獲れた。去年の経験で自分の引き出しは確実に増えた。今年もそのバットを継続してるけど、何かあれば柔軟に対応できると思う。

 よく人に「打撃の極意は?」と聞かれる。自分が意識しているのは「構えやすいところからバットを出す」と「下半身の力をボールに伝える」こと。そうすれば自分のように浅いトップでもボールは飛ぶ。意識はホームランの打ち損ないがヒット。だから打ち損なってもホームランになるのが理想。でも打撃に正解はない。「打撃を極めた」なんて人がいたら何億円を払ってでも話を聞いてみたい。

 年齢不詳の顔で申し訳ないけど8月で36歳。カルビはきつくなってきた。「カレーは飲み物」と言っていた頃が懐かしい。今は普通に食べ物。キャラに反するけど、食生活にも気をつけていきたい。

 感情が分かりにくい顔で申し訳ないけど周囲への感謝の思いは常にある。今まで関わってくれた監督、コーチがいなければ今の自分はない。まだ400。もっと打てるように努力して恩返ししたい。(埼玉西武ライオンズ内野手)

 ◆中村 剛也(なかむら・たけや)1983年(昭58)8月15日生まれ、大阪府大東市出身の35歳。大阪桐蔭3年夏、府大会で準優勝も清原和博(PL学園)の5本を抜く6本塁打を記録し、01年ドラフト2巡目で西武入団。本塁打王6度は歴代3位。その他、ベストナイン6度、打点王3度に輝き、通算満塁本塁打18本はプロ野球記録。1メートル75、102キロ、右投げ右打ち。

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