中越 2年ぶり優勝 19安打で日本文理に逆転勝ち 先発オーダー全員3年生「後輩たちに最高の姿見せた」

[ 2020年8月7日 05:32 ]

2年ぶりの夏の頂点に立ちマウンド上で喜びを爆発させる中越ナイン
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 「令和2年度新潟県高校夏季野球大会」は6日、決勝が行われ、中越が昨夏覇者の日本文理を9―3で破り、夏は2年ぶりの優勝を飾った。合計19安打を浴びせて夏の決勝では6度目の対戦となるライバルを一蹴した。0―3で迎えた4回、2番・酒井龍聖内野手(3年)の適時三塁打など5安打を集める打者一巡の猛攻で大量6点を挙げて逆転。投げてはエース佐藤旦有夢(あゆむ)投手(3年)が3失点完投。夏の甲子園出場は県勢最多11回を誇る名門が独自大会を制した。

 優勝しても甲子園はない。それでも勝利の瞬間、中越ナインはマウンド上に集まり喜びを爆発させた。夏は2年ぶりの王座奪還。1年時にレギュラーとして甲子園を経験した広瀬航大主将(3年)は4安打で打線をけん引し「優勝できて本当に良かった。非常に苦しい2年半だった。最後に勝って、いろんなものが込み上げてきました」と涙を見せた。

 3回までに3点を先行される苦しい展開。本田仁哉監督(43)は「決勝で先取点を取られてからの勝利は記憶にない。ワンサイドゲームも覚悟した」と心境を明かした。

 しかし4回に底力を見せた。先頭の3番・広瀬の右前打を口火に3点を奪って同点。さらに2死満塁から2番・酒井が「絶対に還そうと思った」と右翼へ走者一掃の三塁打を放って勝ち越した。昨秋の準々決勝加茂暁星戦(●8―9)で終盤に2三振。悔しさを胸に練習に取り組んだ成果を大事な場面で示し「やってきたこと全てを打席で出すつもりだった」と胸を張った。

 投げてはエース右腕佐藤旦が完投。リードをもらった5回以降は「自分が抑えれば勝てると思ってスイッチを入れ直した」と無四死球1安打。直球は自己最速の145キロに迫る144キロを連発し、日本文理打線に付け入る隙を与えなかった。夏の決勝で日本文理と戦うのは6度目。対戦成績を3勝3敗とした。

 18年夏の甲子園に出場したが、直後の同年秋は初戦敗退。昨年は春16強、夏、秋は8強。「“弱い、弱い”と言われ続けてきた」と広瀬。それでも確実に力をつけ、コロナ禍による苦難も乗り越え頂点にたどり着いた。

 この日朝、本田監督が「打順もメンバーも3年生で決めろ」と指示。3年生は学校でミーティングを開き全員3年生の先発オーダーを組んだ。指揮官は「3年生は最高の姿を後輩たちに見せた。強くたくましく見えた」と最上級生を称えた。

 「苦しいことが多かったけど、やればできるということを証明できた」と広瀬。特別な夏、中越ナインの雄姿は間違いなく歴史の一ページに刻まれた。 (棚橋 孝太)

 <日本文理>足を絡めて3回までに3点を奪い序盤は優位に進めたが、4回以降は追加点が奪えず連覇を逃した。長打2本を含む3安打と気を吐いた1番・桑原大紀(3年)は「文理の1番はこうだというのを見せたかった。気持ちで打った。守備からリズムをつくるという点では中越の方が上でした」と相手を称えた。昨秋32年ぶりに初戦で敗れたチームを立て直して夏に臨んだ鈴木崇監督(39)は「3年生には区切りになったと思う。(試合内容は)次につながるものだと捉えたい」と敗戦を今後の糧にする意向を示した。

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