三宅、初の記録なしで最後の五輪終え引退表明「完全燃焼。しばらくは重いものは持たない(笑い)」

[ 2021年7月25日 05:30 ]

東京五輪2日目 重量挙げ女子49キロ級 ( 2021年7月24日    東京国際フォーラム )

スナッチ76キロを失敗し、尻もちをつく三宅宏実(撮影・北條 貴史)
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 両手を腰に当て、静かに目を閉じた。三宅は3度目のジャークの試技に失敗。5度目の五輪は初めて記録なしに終わった。涙で目を赤くした三宅は、明るく言い切った。

 「完全燃焼です。しばらくは重いものは持たないと思います(笑い)。ガス欠です」

 昨年3月、五輪の1年延期が決定。腰や足などに痛みを抱える中で絶望した。失意のうちに帰った実家で21年前に初めて触ったバーベルで練習。自宅の床が抜けないよう、ゆっくり下ろした。原点に戻ったことが、前進の原動力になる。試合後は「より長く競技を続けられた。この1年はボーナスだったのかな」と前を向けた。

 ロンドン銀、リオ銅。64年東京大会の日本選手団金メダル1号だった伯父の義信氏には届かなかったが、その伯父もできなかった五輪5大会出場は三宅家の誇りだ。「第二の人生の方が長いので、同じくらい情熱が注げることを探したい。東京がゴールではないので、その先も同じくらい充実した人生にしたい」。後悔はない。21年の競技生活を道しるべに新たな道を歩む。

 ≪父・義行氏「よく頑張ってくれた」≫68年メキシコ大会銅メダリストの父・義行氏は「東京五輪にチャレンジできたのは選手にとっても私にとっても大きな財産。1年延びたが、よく頑張ってくれた」とねぎらった。父、そしてコーチとして一緒に戦った21年間。「ケガと戦いながら、いろんなことを乗り越えたことは今後の人生を歩む道でプラスになる」とし「どういう形になるか分からないが、重量挙げに携わっていくんじゃないかと思う」と愛娘の今後について語った。

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