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【スポニチ×スポキャリインタビューvol.23】大場翔太さん(前東芝野球部マネジャー)

[ 2023年1月5日 19:30 ]

大場翔太さん(左)の貴重な体験談を笑顔で聞く岡泰秀スポキャリ取締役会長
Photo By スポニチ

 学生のこと、就活のこと――前東芝野球部マネジャーの大場翔太さんにきいてみた。
 
 プロ野球3冠王の落合博満氏ら多くのプロ選手を輩出した社会人野球の強豪・東芝で、2022年シーズンまでマネジャーを務めた大場翔太さん(31)は、明大で自ら志願して、マネジャーの道を選んだ。
 
 静岡市出身で静岡市立高では外野手としてプレー。指定校推薦で明大進学が決まると同時に野球部入りを決めた。

 「実力は大した選手じゃなかった。大学で試合に出るのは無理だと分かっていた。でも、せっかく東京六大学の明治に入ったんだし、野球部に関わりたかった。だからマネジャー。就職にもプラスになるんじゃないかな、という気持ちもありましたけどね」

 明大野球部は1学年約30人。120人の大所帯を5人から8人くらいのマネジャーが分担して切り盛りするのが一般的だった。

 しかし、大場さんが1年秋のときに先輩と2人だけになる事態に見舞われた。試合の準備、部員への連絡、取材対応、さらにお金の管理と仕事に追われた。

 さらに就活が本格化する4年の春には、フロリダ―カリフォルニア―アリゾナと続いた米国合宿に同行。3月いっぱいまで日本を離れていたため、就活は大きく出遅れた。

 「野球に関わるのは大学までと思っていたけど、周りの選考はどんどん進んでいた。帰国後に焦っていたところ、監督が東芝がマネジャーを探している話を持ってきて下さった。マネジャーを続けることは考えていませんでしたが、ありがたいお話を頂いたのでマネジャーを続けることを決意しました」

 就活ではどん底からの復活でしたが、結果的に大学時代に一生懸命取り組んだことが成果となった。目の前のことに全力で打ち込むことが、結局は人の縁につながると大場さんは感じている。
 
 [聞き手]岡 泰秀(株)スポキャリ取締役会長。
昭和50年(1975年)生まれ。京都成章高-大阪体育大。
99年4月(株)大阪近鉄バファローズに入社。監督付広報、2軍チームマネジャーほか、球団社長室に所属し、肖像権委員会、広報業務などに携わる。
近鉄球団の整理を担当しながら、オリックスバファローズや東北楽天イーグルスの設立に携わり退社。
09年にスポーツマネジメント会社「スポーツカンパニー」設立。
上原浩治(元巨人)、建山義紀(元日本ハム)らの日本側の代理人を務め、清水直行(元ロッテ)らの事業コンサルを務めた。
04年よりプロスポーツ昭和50年会を立ち上げ、幹事長を務める。
05年より大阪体育大学硬式野球部の助監督を務めた(~17年)。16年からは阪神大学野球連盟の常任理事。22年から関西5リーグ監督会の事務局長も務める。

 ――神奈川大学野球連盟のスタートアップセミナーでも、会社のことを知る必要性を強調していた。

 「面談をした当時の東芝の監督とマネジャーに怒られたんです。

 東芝の会社の印象を聞かれたときに“家電メーカーですよね”と言ったら、“お前は何も知らない。ふざけるな”と。

 スタートアップセミナーでも学生に聞いた東芝のイメージはテレビ、パソコンというものだけ。私の入社当時も白物家電は主力事業でなく、現在では中国の企業に売却されています。

 東芝は『総合電機メーカー』で、通信・上下水道・道路・鉄道などのシステムを中心とした社会インフラ事業や、火力・水素等のエネルギー事業が主力の会社でした。

 企業イメージと実際は東芝に限らず、大きく変わっている。就職するなら、まずそこを知ることからやってほしい」

 ――知名度だけで選ぶ学生も多い。

 「それで就活が成功した例はないんじゃないですか。何も会社のことを知らない人は採用されない。会社のことを教える予備校なんかはない。自分で調べて、知識にするしかない。それが就活の第一歩。

 せっかく入社したのに、辞める人が出るのも、イメージと実際のギャップが大きいからじゃないかな。ミスマッチをなくすためにも、会社のことはしっかり研究してほしい。

 知らなかったら絶対に後悔する。セミナーとかは会社の中身をしっかり知るいい機会だと思います」

 ――体育会の学生の良さと課題をどう見ていますか。

 「精神的に強いし、簡単にめげない。文句を言わずに、多少理不尽なことでも乗りこえていける。こんなの出来ません、とは言わない。そのあたりは体育会系の学生のいいところだし、企業も期待するところ。

 でも一方で考えてやることには慣れていない。練習でも与えられたメニューをやっているだけ。この練習にどんな意味があるか、どうすれば上達するのか。意見を持ち、理解していくことを習慣にしてほしい。

 その考える力を、これからの体育会系の学生には求められていくと思います」

 ――就活がうまくいかないこともある。

 「うまくいかない、内定が取れないというときも、原因は何なのか自分で考えないといけない。原因は必ずある。それが履歴書なのか面接の仕方なのか。会社研究をしっかりしているのか。苦しいときこそ、振り返って、考え直すことが大事だと思います」

 ◆就活のためのキーワード
 (1) 会社研究は大事。何も会社のことを知らない人は採用されない。会社のことを教える予備校なんかはない。自分で調べて、知識にする。それが就活の第一歩だ。

 (2) セミナーなどは会社の中身をしっかり知るいい機会だ。ミスマッチをなくすためにも積極的に参加することが必要。知名度や給料とかで、会社を選ぶと、絶対に後悔することになる。

 (3) 精神的な強さが体育会学生の持ち味だが、一方で考えてやることには慣れていない。練習でも与えられたメニューをやるだけではく、どんな意味があるか、どうすれば上達するのか、を常に考える習慣をつけてほしい。

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