【柔道】最後まで我慢…本物の柔道家になった高藤に称賛を―上水研一朗の目

[ 2021年7月25日 05:30 ]

東京五輪2日目 柔道男子60キロ級 ( 2021年7月24日    日本武道館 )

柔道男子60キロ級、試合を前に気持ちを高める高藤(撮影・小海途 良幹)
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 教え子ながら、高藤の戦いぶりに称賛を贈りたい。本来の調子には程遠く、準々決勝以降は我慢の繰り返しだった。本来、野性味あふれる柔道が持ち味の男が、リオの失敗を経て本物の強い柔道家になったと思う。

 大会前、キーワードは3つと伝えていた。

(1)小内刈りを軸にすること
(2)寝技で攻めること
(3)我慢すること

 背負い投げのように担ぐ技が得意な高藤にとって、小内刈りは後ろへ倒す逆の技。スメトフ戦は小内を繰り出し、寝技で体力を削って勝利を呼び込んだ。

 高藤自身の消耗が激しかった決勝は左の釣り手がしっかり持てなかったが、けんか四つの相手を包み込むようにしてコントロールし、カウンターを待った。以前なら自分から仕掛けて自爆するようなところがあったが、最後まで本当に我慢したと思う。相手が圧力を感じていたことが、指導3に結びついた。

 一方、渡名喜は初戦から理詰めの素晴らしい内容の柔道を展開していたが、決勝だけは少し浮き足立ってしまった。それが初出場の難しさだろう。実際、高藤も五輪で自分の体がうまく動かないような経験をしたからこそ、大きく成長し、今回の結果につなげた。次のステージに期待したい。(東海大体育学部武道学科教授、男子柔道部監督・上水研一朗)

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