金メダルの阿部一二三「燃えた」 妹の詩に最強お兄ちゃん証明、兄妹同日Vで「歴史に名を刻めた」

[ 2021年7月25日 20:07 ]

東京五輪3日目 柔道男子66キロ級 ( 2021年7月25日    日本武道館 )

<柔道男子66キロ級決勝>金メダルをかじる阿部一二三(左)と詩(撮影・会津 智海)
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 柔道男子66キロ級代表の阿部一二三(23=パーク24)が、決勝でマルグベラシビリ(ジョージア)に勝利し、五輪初出場で金メダルに輝いた。妹で、女子52キロ級の阿部詩に続く金メダルで、過去に例のない「夏季大会でのきょうだい金メダル」を達成した。

 チャンスを逃さなかった。世界屈指の担ぎ技を持つ阿部一二三に対して、マルグベラシビリは警戒。だが、1分50秒に隙をついて、大外刈を決めた。これが技ありとなり、最後は優勢勝ちで決めた。

 優勝インタビューでは、きょうだい同日Vに「2019年の世界選手権で敗れて、妹が優勝して。きょうも決勝戦を妹が先にやって、先に金メダル獲って。うん。でも、僕にはすごい燃えた。絶対にやってやるしかない、と。プレッシャーとか、全然なかったです」と胸を張り、「歴史に名を刻めたというか、歴史を塗り替えられた」と、史上初の快挙を達成して充実感を見せた。さらに全体を振り返って、「きょうは落ち着いて冷静に自分の柔道ができて、しっかり前に出て、一本取りに行く柔道が出せたので、とてもよかった」と喜んだ。

 兵庫・神港学園2年だった14年に講道館杯を初制覇。同年のグランドスラム(GS)東京大会にも優勝して16年のリオ五輪代表候補に挙がったが、翌年の講道館杯は3位にとどまり夢を絶たれた。大きな失望を乗り越え、17、18年世界選手権を2連覇。その後はスランプに陥ったが、昨年12月に丸山城志郎との五輪代表決定戦を制し、妹の詩とともに夢舞台に立った。

 持ち味は相手を根こそぎ引っこ抜くような豪快な担ぎ技。国際舞台で結果を残し続けたゆえにライバルには警戒され、この日も準々決勝までは豪快に担ぎ技で決められる試合はなかったが、新たに習得した足技で危なげなく勝ち上がり。決勝戦も、見事だった。妹の前で、最強のお兄ちゃんを証明した。

 ◆阿部 一二三(あべ・ひふみ)1997年(平9)8月9日生まれ、神戸市出身。6歳で柔道を始め、兵庫・神港学園高2年だった14年に講道館杯、GS東京大会を17歳で制覇。日体大在学時の17、18年に世界選手権を2連覇し、19年大会は銅メダル。昨年12月に丸山との五輪代表決定戦を制して東京五輪代表に内定。20年4月からパーク24所属。右組み。得意技は背負い投げ、袖釣り込み腰。1メートル68。家族は両親と兄・勇一朗さん、五輪女子52キロ級代表の妹・詩。

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