柔道・高藤 5年分の涙 リオ銅の雪辱で金1号 決勝は「計算通り」3つ目の指導引き出し頂点

[ 2021年7月25日 05:30 ]

東京五輪第2日 柔道男子60キロ級 ( 2021年7月24日    日本武道館 )

金メダルを獲得し抱き合い涙する高藤(右)(撮影・会津 智海)
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 競技が本格的にスタートした24日、柔道ニッポンがメモリアルなメダルで日本選手団に勢いをつけた。男子60キロ級の高藤(たかとう)直寿(28=パーク24)は決勝で楊勇緯(ヨウユウイ)(23=台湾)を指導3による一本で下し、日本勢金メダル1号となった。16年リオ五輪の銅メダルから5年、悲願のリベンジを果たした。先に行われた女子48キロ級決勝では、渡名喜風南(となき・ふうな、25=パーク24)が敗れたものの、初出場で銀メダル。夏季・冬季を合わせて日本の通算500個目の五輪メダルとなった。

 2年ほど前に建てた新居の飾り棚。世界選手権で獲得した3つの金メダルよりも高い位置に、少し鈍い輝きを放つメダルがある。5年前のリオ五輪で獲得した銅メダル。「悔しさを忘れないため」と飾ったが、昨年、運動会から金メダルを持ち帰った長男・登喜寿(ときひさ)くんに言われた。「何で金メダルじゃないの?獲ってないじゃん」と。「心にグサッときた。獲ってやろうと思った」

 楊勇緯との決勝。3試合連続で延長戦にもつれ込んだが、「計算通り。最後は両者指導狙いでいいかなと」と3つ目の指導を引き出し勝負を決めた。少しキョトンとした表情を浮かべ、一礼した後は笑顔に。そして、畳を下りる前、正座で一礼すると、熱いものを抑えきれなかった。「本当に今まで支えてもらって、この結果があると思う」。井上康生監督や担当の古根川実コーチらの姿が涙でゆがんだ。

 金メダルの大本命として臨んだ5年前は、自分でつくり出した魔物にのみ込まれた。選手村で開会式の中継を見た試合前夜は興奮して寝付けず。迎えた試合当日も初戦からガチガチな上、試合前のルーティンにしていた後ろ受け身をして「審判に“次やったら失格にする”と言われて動揺した」と振り返った。本来の力を発揮できずに準々決勝で敗れ、何とか銅メダルは確保。それまでの豪快な柔道スタイルをモデルチェンジするには、十分すぎる分岐点だった。

 かつては代表チームの規律違反で強化指定ランクの降格処分を受け、井上監督を丸刈りにさせたやんちゃキャラ。畳の上では変則の肩車に代表されるアクロバティックな技で世界を魅了してきたが、この5年間は安定感にこだわった。19年世界王者チフビミアニ(ジョージア)との準々決勝、リオ銀のスメトフ(カザフスタン)との準決勝も、「組手の手順を考えた。手順さえ間違えなければ負けない」と我慢強く戦った。結果的に技での一本勝ちは初戦のみだったが「渋い試合をしたなと思う。でも、あれが僕の柔道」と胸を張った。

 無観客での開催。登喜寿くんはスタンドにはいなかったが、世界一のパパになって、電話で金メダルを報告した。「いつもは柔道に興味がないのに、泣きそうになるくらい応援してくれたみたい。帰ったら、思いっきりいじめたいと思う」。鈍さなど微塵(みじん)もないメダルを持ち帰り、5年前の銅に覆いかぶせるように飾るつもりだ。

 【高藤 直寿(たかとう・なおひさ)】☆生まれ 1993年(平5)5月30日生まれ、栃木県下野市出身の28歳。

 ☆競技歴 7歳から柔道を始め、16年リオ五輪銅メダリストの海老沼匡と同じ野木町クラブに通う。東海大相模中・高、東海大を経て16年4月にパーク24入り。

 ☆主な実績 小中高の各全国大会優勝を経験。11年世界ジュニア、13、17、18年世界選手権優勝。16年リオ五輪は銅メダル。

 ☆得意技 小内刈り、変則の肩車。

 ☆趣味 最近はまっているのはオンラインゲーム。新居に専用部屋を造って楽しんでいるが、機材は廉価なもので「金メダリストにふさわしいものを買いたい」。

 ☆SNS ツイッターやインスタグラムを愛用。コロナ下での自粛期間中には、「頑張るおじさん」と銘打って屋内でできるリズム体操の動画をアップし話題を呼んだ。

 ☆偏食 かつては野菜を一切食べない偏食ぶり。サラダを食べろと言われて「じゃがりこのサラダ味を食べた」。

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