柔道・渡名喜 メモリアル銀メダル!夏冬通算500個目 決勝は「投げにこだわりすぎ」涙

[ 2021年7月25日 05:30 ]

東京五輪2日目 柔道女子48キロ級 ( 2021年7月24日    日本武道館 )

柔道女子48キロ級、表彰台でメダルを手にする渡名喜(左)(撮影・会津 智海)
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 競技が本格的にスタートした24日、柔道ニッポンがメモリアルなメダルで日本選手団に勢いをつけた。女子48キロ級決勝は、渡名喜風南(となき・ふうな、25=パーク24)が敗れたものの、初出場で銀メダル。夏季・冬季を合わせて日本の通算500個目の五輪メダルとなった。

 最大の難関を乗り越え、頂点まであと一歩でつまずき、渡名喜は「自分の弱さが出た」と涙した。決勝のクラスニチ戦。序盤から五分の争いも、残り20秒を切ってから内股で技ありを奪われ、逃げ切られた。1月のマスターズ大会でも、ビロディドに5戦目で初勝利した後の決勝で、コソボの星に敗戦。「最近は決勝で勝てていなかったので、怖さが出てしまった」と後悔の言葉を繰り返した。

 かつては5大会連続出場で金2、銀2、銅1と柔道界を超える存在となった谷亮子(旧姓田村)が君臨した日本の看板階級。帝京大の後輩に当たる渡名喜だが、大先輩が25歳で迎えた3度目のシドニー五輪で悲願の金メダルを獲得した一方、25歳での初出場は亀の歩みかも知れない。同学年にはリオ銅の近藤亜美が君臨。背中を追いかけ、いつの間にか追い抜いた理由は、コツコツと磨いた多彩な足技と寝技が要因だ。

 最大のヤマ場だった準決勝のビロディド戦。長身ゆえに減量に苦しみ、この日も初戦から息を切らせるシーンが多かった相手の引き手を封じ、延長2分すぎに横四方固めで一本勝ち。「凄く冷静で周りが見えていた」と自身の好調ぶりを感じていたが、金メダルの懸かった決勝で「投げにいこうとこだわりすぎた」と、初の大舞台で最後に狂いが生じた。

 19年1月には自分の殻を破ろうと、モンゴルへと単身武者修行。氷点下30度にもなる厳冬期にモンゴル代表と稽古を共にし、ひ弱だった自分を克服した。「しっかりこの負けを認めたい」。この負けを、いつか通過点として振り返る。柔道ニッポンの先導役として日本選手団通算500個目のメダルを獲得した25歳は、1年早くやってくる次の五輪への道筋を見据えた。

 ▼谷亮子さん 渡名喜さんの良さは落ち着いて試合ができるところ。今日は寝技に磨きがかかっていた。金メダルを目指してきたので悔しさはあると思うが、メダルを獲れたのは良かった。よく頑張ってくれたと思う。

【渡名喜風南(となき・ふうな)】

 ☆生まれ 1995年(平7)8月1日生まれ、相模原市出身の25歳。4姉妹の末っ子で、両親は沖縄県南風原(はえばる)町出身。

 ☆柔道歴 格闘技好きが高じ、小3から地元の名門・相武館吉田道場で開始。相原中―東京・修徳高―帝京大を経て18年4月にパーク24入り。

 ☆主な実績 高3の全国高校総体準優勝。15年世界ジュニア選手権優勝。世界選手権には17年から3大会連続で出場し、17年優勝、18、19年は準優勝。

 ☆得意技 小外刈り、背負い投げ、寝技。左組み。

 ☆座右の銘 「死ぬこと以外はかすり傷」。勝てない時期が続いていた大学1年の頃、母・和美さんから伝授された。

 ☆勝負飯 お汁粉。試合前日の公式計量後に必ず食べるという。

 ☆髪形 下半分を刈り上げ、上の髪をちょんまげ風にまとめて登場。「自分がしたい髪形にすることで、モチベーションが上がる」。3歳の頃、テレビドラマの主人公に憧れ「男になりたい」とスポーツ刈りにした。

 ☆苦手 満員電車。身長1メートル48と小柄で「押し込められるとキツい」。あまりにキツい場合は途中降車することも。

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