阿部一二三&詩を直接指導 名伯楽が見た金メダル兄妹の素顔「一二三は天才 詩は努力家」

[ 2021年7月25日 22:15 ]

東京五輪第3日 柔道男子66キロ級・女子52キロ級 ( 2021年7月25日    日本武道館 )

<柔道男子66キロ級決勝>金メダルを手に笑顔を見せる阿部一二三(左)と詩(撮影・会津 智海)
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 柔道男子66キロ級代表の阿部一二三(23=パーク24)が、五輪初出場で金メダルに輝いた。妹で、女子52キロ級の阿部詩(21=日体大)に続く金メダルで、過去に例のない「夏季大会でのきょうだい金メダル」を達成した。阿部兄妹を直接指導してきた日体大柔道部の山本洋祐部長(61)。現役時代には肘の大ケガを乗り越えて88年ソウル五輪で銅メダル(65キロ級)を獲得し、日本代表コーチとしても野村忠宏氏、内柴正人氏らの金メダル獲得をサポート。そんな名伯楽が見た兄妹とは。

 「一二三の方が天才だと思う。詩の方が努力家。一二三の投げの感覚は、本当に抜きんでている。背負い投げの際の肩の柔らかさ、無理な体勢から持って行く力。詩も力があるが、立ち技は兄の方が凄い」

 地元・兵庫で大学進学までの2人を見てきた指導者の多くは「兄は努力家、妹は天才肌」と評するが、山本氏の見立ては真逆だ。それは高校時代までに豪快に担ぐ柔道を確立した一二三と、大学入学後もコツコツ努力し、寝技を磨いて新境地を開いた詩の姿を目の当たりにしてきたからこその評価だ。

 16年4月の入学当時、すでに担ぎ技の威力は世界でも屈指。「まだ寝技ができていなかったし、右技ばかりなので逆の技にも取り組んだ」と課題を与えながらも、長所をさらに伸ばすことに腐心した。背負い投げの際、釣り手側の右脇を締めるのがセオリーだが、一二三は脇が開いた状態でもフルパワーを発揮できる、類い希な肩周りの柔軟性がある。そのため「肩周りの筋肉はあまり付けないように。柔軟性は残した」と、日体大准教授で男子日本代表コーチでもある岡田隆氏(41)と密に連係を取り、体作りも進めた。

 詩は同じ投げ方はできないものの、寝技など緻密に技術の枝葉を広げてきた。そして誰よりもまじめ。「スロースターターの兄に比べて、詩は最初から最後まで全て全力」。少しでも不安を打ち消そうと、試合当日のウオーミングアップも一本目から全力を尽くすゆえ、普段から「おまえほど稽古をしている選手はいない。今まで指導してきた中で、内容も質も全て一番。だから自信を持て」とほめながら育て、自信を植え付けてきたという。

 2人のために大学からは最大限のサポートを引き出し、詩はキャンパス近くで母・愛さんと2人暮らし。一二三も母の手料理で英気を養える生活環境も整えた。共通して言い続けた言葉は「ケガには気をつけろ」。少しの痛みでパフォーマンスが落ちる一二三と、大学入学後には肩や足のケガが相次いだ詩。力があるからこそ、100%の状態で畳に上げることに腐心し、日本武道館の畳に送り届けた。

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