スケートボード 堀米の独創性と白井の爆発力が構造変化生む

[ 2021年7月25日 05:30 ]

巧みにスケートボードを操る堀米雄斗
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 新競技のスケートボードは、25日に最初の種目となる男子ストリートが行われる。日本勢は6月の世界選手権を制した堀米雄斗(22=XFLAG)、3位に入った白井空良(そら、19=ムラサキスポーツ)のメダル獲得に期待が懸かる。国際大会の審査員も務める日本スケートボード協会(AJSA)競技委員の本間章郎氏(54)が日本代表の強さと勝利のポイントを語った。

 男子ストリートの金メダル争いは堀米雄斗とナイジャ・ヒューストン(米国)を軸にした構図になるだろう。この2強に挑む3位争いがし烈で、ケルビン・ホフラー(ブラジル)、白井空良ら誰が入ってもおかしくない。

 6月の世界選手権の堀米はラン2本を失敗した中、ベストトリックの得点で優勝した。サッカーで言うと0―10から後半11点取り返して勝ったようなもので、勝負強さと安定感は抜群だ。加えて、彼の強さは何十年も蓄積されたスケートボードの技のアーカイブの中で、王道から外れた道に進むところ。板や体の回転の方向はある程度王道のステップがあるが、彼はあえて逆の方向に回す。その独創性が魅力の一つだ。

 スケートボードの進み方はメイン、スイッチ(逆スタンス)、後ろ向きに進むフェイキーの3種類。右利きの人が左手で文字を書くのと同じで、普通は滑っているだけでメインかスイッチか分かるが、堀米の場合は全く遜色がない。微妙に変化するはずの姿勢や目線、上半身の向きなどがほぼ変わらない。そのずれない重心と軸をつかむ能力が、高難度トリックの完成度につながっている。まだお披露目されていない技も多く、五輪でどの技を出すか注目したい。

 白井も同様、誰もやらない技に挑む。新技はすぐに世界中のライダーがまねをするが、彼の名前を冠したトリック「ソラグラインド」はまさに唯一無二。普通なら名前を使う必要はなく「フロントサイド180スイッチノーズグラインド」と呼べばいいだけ。それでも世界中で「ソラグラインド」と呼ばれるのは、誰も超えられないほど完成度が高いということだ。白井はハマれば凄い爆発力を持ち、優勝できる可能性も秘めている。

 技だけでなく、選手がどのセクションを使うかも重要になる。五輪の会場は横に広く、選択肢が豊富。ランならどこを通ってどのセクションで技を決めるか、そのラインの取り方で同じ技でも大きく評価が異なる。ルーティンの完成度、ラインの組み方、スピードといったプロセスも大事。さらに、ある程度結果が見えてくるベストトリック3本目からの攻防、駆け引きも面白い。守るのか、勝ちにいくのか。選手が選択し始める3本目からが見どころだ。

 日本代表の3人には当然メダルを獲ってもらいたいが、メダル獲得に続く構造変化にも期待したい。いかにしてスケートボードが日本の社会に溶け込み、認められるか。日本の選手たち、特に本場の米国を拠点とする堀米はその思いを背負い、滑りで表現するだろう。

 ▽スケートボード・ストリート 街中にある斜面や階段、手すりを模したコースで争われ、技(トリック)の難易度や高さ、スピード、独創性、完成度などで採点される。コースを自由に滑る45秒間の「ラン」2回、障害物を使った一発技の「ベストトリック」5回の計7回(各10点満点)のうち、得点の高い4回の合計で競う。

 ◇本間 章郎(ほんま・あきお)1967年(昭42)6月24日生まれ、東京都世田谷区出身の54歳。95年に千葉県浦安市にスケートボードショップ「インスタント」を設立し、現在は6店舗を展開。96年から日本スケートボード協会競技委員として大会MCや審査員を務め、国内外のスケートボードパークの建設にコンサルタントとして携わっている。

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