堀米雄斗が初代金メダル「シンプルに、すごくうれしい」 五輪新種目のスケボ男子ストリート

[ 2021年7月25日 13:38 ]

東京五輪第3日・スケートボード男子ストリート ( 2021年7月25日    有明アーバンスポーツパーク )

金メダルを獲得した堀米(ロイター)

 五輪の新種目、スケートボード男子ストリートの堀米雄斗(22=XFLAG)が金メダルを獲得した。

 予選で33・75点の6位となり、8人が争う決勝に進んだ。決勝では、各45秒間を2回滑る「ラン」では思うように得点を叩き出せなかったが、1カ所を選び大技を繰り出す「ベストトリック」では、1回目で9・03点、同3回目で9.35点、同4回目で9・50点の高得点をマーク。最終滑走でも9・30点で、上位4本の合計で37・18点とし、圧倒した。

 「シンプルなんですけど、すごいうれしいです。地元、江東区で生まれて、ずっとスケボーだけしてきて、本当にオリンピックが4年、5年前に決まって、自分がやっていることを積み重ねているうちにオリンピックが近づいて行った。きょう、オリンピックという場所に立ててうれしいです」と堀米。「世界でトップのプロスケーターたちが集まっていた。自分もできるかぎりのことをやろうと思って、ランを攻めたが、ランではメイクできなくて心の中ではあせっていたが、ベストトリックで切り替えられたのがよかった」と冷静に分析した。

 昨秋には「スケボーで稼いでアメリカで家を買う」という幼少期からの夢を実現。米国を拠点として練習に励んでおり、「アメリカでプロになって家を買うことが夢だったので、実現できていることがうれしい」と喜びを語った。購入した家はガレージと庭が付いた4LDK。広大な裏庭にはコンクリートの練習場をつくり上げ、手すりやボックスなどを配置した。「朝起きてウオームアップができたり、練習時間が増えた」と競技生活も以前より充実したという。

 「誰もやったことがないオリジナルの技」にこだわってきた堀米にとって、スケートボード競技が新種目として、採用される東京五輪の金メダルは大きな夢の一つ。高校卒業後に日本を飛び出したが、リリースしたボードには富士山、日本食をデザインするなど母国愛は誰よりも強い。初採用、そして地元開催。「五輪では誰も勝ったことがない。誰も成し遂げていないことを、自分が成し遂げたい」と初代王者に懸ける思いを口にしていた。
 五輪前最後の実戦、今年6月の世界選手権では初優勝。絶対王者のナイジャ・ヒューストン(米国)を下し「自分の自信にもつながったし、ナイジャの勢いも少し止められたかなと思っている」と手応えをつかんだ。同大会の表彰式で流れた君が代に「本当に日本を背負うんだと思った」と改めて日本代表としての自覚を強め、臨んだ五輪本番。一番輝くメダルを手にした。

 ◇堀米 雄斗(ほりごめ・ゆうと)1999年(平11)1月7日生まれ、東京都出身の22歳。父親の影響で6歳からスケートボードを始め、高校卒業後に本格的に渡米。17年にストリートリーグ(SLS)に初参戦し3位。18年にはSLSロンドン大会でアジア選手として初優勝。同年のSLSは3戦3勝。19年の五輪予選対象大会では2勝。世界選手権は銀メダル。今年6月の世界選手権では36・75点をマークし初の金メダル。XFLAG所属。1メートル70。

 ▼スケートボード競技 五輪で行われる種目は、街なかにある坂や手すりに似せた障害物を設置したコースで競う「ストリート」と、複雑な窪地状のコースで競う「パーク」の2つ。ジャンプや回転などの技(トリック)に挑み、トリックの難易度や成功率、スピードの他に、全体の流れやオリジナリティーなども考慮して審査員が得点を付ける採点競技。技の順番は自由で、途中で転倒しても時間内であればそのまま競技は続けられる。

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