藤井聡太竜王、初防衛王手 「20年前の形」しっかり対応 タイトル戦“自己最速”午後3時21分決着 

[ 2022年11月10日 04:45 ]

第35期竜王戦七番勝負第4局、感想戦で対局を振り返る藤井聡太竜王
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 藤井聡太竜王(20)=王将、王位、叡王、棋聖含めて5冠=が広瀬章人八段(35)を挑戦者に迎えた第35期竜王戦7番勝負第4局は9日、京都・福知山城天守閣で2日目が指し継がれ、先手藤井が95手で勝利した。第2局から3連勝とし、初防衛へ王手をかけた。第5局は25、26日に福岡・宮地嶽神社貴賓室で指される。

 通算45局目のタイトル戦で自己最速、午後3時21分の終局を実現した。自陣に後手広瀬の攻め駒は歩1枚。終局後、時空を超えた研究の広さが、藤井の感想戦から判明した。

 「最近指されない形なので、前例を思い出しながら指しました」

 36手目、広瀬が最近の角換わりでは珍しく、金を2段目ではなく3段目へ上がった。バランス重視の流行に反した攻撃重視の戦型は、当地を訪れた連盟常務理事・井上慶太九段(58)によれば「20年前によく指された形」。つまり広瀬の修業時代、藤井は生まれた頃。史上最年少5冠の研究量がうかがえた。

 そして55手目、ついに前例を離れる局面で選んだ、3筋の歩突き。直前に広瀬陣へ打ち込んだ角で確保した香を、攻めに使う意思表示だった。

 同歩なら伸びた歩の裏から香を打ち、広瀬王を守護する金へ圧力をかける。実際は飛車との2段ロケットとして活用した。左辺の馬とで挟み撃ちにした。

 11度目のシリーズも第4局で王手をかけた。過去10度、全ての防衛に成功している藤井は、7番勝負が今回6度目。最も負けたのが1敗で、いずれも第5局まででシリーズを終えた。

 タイトル戦出場棋士が気にかけるのはもちろんシリーズの勝敗だが、敗退後、消えてしまう対局も心残りだ。例えば第5局で終えれば、第6、7局を当地で待つファンの姿。「何とかシリーズが続くよう第5局を頑張りたい」。広瀬の切実な願いを引き出した完勝譜だった。 (筒崎 嘉一)

 ≪再びおやつにアップルパイ≫藤井がこの日午前のおやつに注文した「丹波福知山のアップルおさつパイ」が、研究のため当地を訪れた棋士の間で話題になった。当地の洋菓子店「シャルム」の品で、スイートポテトとのコラボスイーツ。藤井は同じ京都・仁和寺で指された第2局でも1日目午後にアップルパイを注文。「竜王の好物では?」と盛り上がった。

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