アニメ研究部 三森すずこ

三森すずこ クール系でも、天然系でも…2つのキャラを演じる楽しみ

[ 2017年10月11日 10:00 ]

新曲「エガオノキミエヘ」とアニメ「結城友奈は勇者である」について語った声優の三森すずこ
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 今月から放送が始まったアニメ「結城友奈は勇者である―鷲尾須美の章―」の主演声優で、10月11日に同作のオープニングテーマ「エガオノキミヘ」を発売した三森すずこさんのインタビュー後編。今作で演じる鷲尾須美のように“クールなお嬢さま系”を担当することが多いが、正反対の“天然おバカ系娘”も得意としている。2つのキャラを演じる楽しみと、三森さん自身のキャラについて聞いた。

 三森が今作で演じる鷲尾須美は、冷静で大人びた少女。世界滅亡を企てる謎の敵と戦う“勇者”という設定だ。役作りは「子供という感覚ではやっていません。過酷な運命を生きている女の子で、気持ち的に凄く成長しているので、子供を演じすぎるとバランスが取れない」と気を付けている。

 自身が演じるキャラクターのタイプについて「冷静沈着な賢いお嬢さまや、割と陰がある役が最近は多い」と感じているという三森。その理由については、学校を舞台に活動するアイドルグループを描いて大ヒットした「ラブライブ!」シリーズ(2013〜14年)で、園田海未(うみ)を演じたことにあると分析した。海未はしっかり者でクールな性格で、主人公の良き理解者のポジション。「海未ちゃんが基準になり、今はそういうお仕事が集まってきているのかもしれません」と語った。

 だが、天真らん漫な“おバカ系キャラ”にも多くのハマリ役があるのは、三森ファンなら周知の事実。「探偵オペラ ミルキィホームズ」のシャーロック・シェリンフォードや、「てーきゅう」シリーズの新庄かなえ、「毎度!浦安鉄筋家族」の大沢木小鉄らだ。

 三森はその魅力を楽しそうに説明してくれたが、「アホで元気な子は、(自由な発想で声をつくるなど)遊び放題できるのがいいです」との表現には少し驚いた。

 声優界きっての美女が口にした「アホ」というストレートな単語、飾らない口ぶりに戸惑う記者に、三森は「表現、良くないですか?じゃあ…」としばし黙考。そして気合の入った声で「アホゥ!ってのはどうですか?」と提案してきた。声の勢いと険しい表情で、妙にカッコ良く聞こえてしまった。だが、すぐさま「あは。一緒ですかね」と照れ笑い。こちらもつられて笑い、すっかりペースを握られてしまった。

 「アホな子は、アドリブを凄くいっぱい入れたり、気楽にやれます」と語る笑顔は心底楽しそうだった。クールなお嬢様タイプと、天然で「アホゥ!」な元気娘タイプ。どうやら演じやすいのは“元気娘”のようだ。

 ならば素顔の三森も“元気娘”に近いのだろうか?そんな疑問をぶつけると「どうなんでしょう。中間くらいにいるんでしょうか」と、はぐらかされた。だが「凄く明るい性格だとは思います。人生、暗いことを考えていてもしようがない。割と楽観的なタイプです」と自己分析。そして「だから“最近、クールでミステリアスな役が多いなぁ。私はこんなに明るい子なのになぁ…”なんて思っています。ふふふ」と笑った。

 それでも“クールなお嬢さま”タイプを演じるのは「どこか三枚目でズレた部分があったり、その子の個性をどんどん見つけて行ける面白さがあります」と“元気娘”にない魅力を感じている。「凄く繊細に気持ちを作って(役作りを)深めて行く面白さがあります」と“元気娘”とは違うアプローチを楽しんでいる。

 本来の自分に近い個性を自由に発揮できる声、自分にない部分を探って深めていく声。二つのタイプを行き来するのが、この人の声の魅力なのかもしれないと感じた。(岩田 浩史)

 ≪趣味はプロレス観戦 相撲も勉強中≫三森の趣味はプロレス観戦。きっかけは所属事務所のグループがプロレス事業に参入したことで、仕事の一環で観戦したという。「見始めたら、そのエンタメ性がめちゃめちゃ楽しくて。観客席のおじさんたちが一緒にコールしていて“え?何これ!楽しい!”ってハマってしまいました」と、プライベートでも観戦にいくほどのめり込んだ。16年には「タイガーマスクW」の高岡春奈役を担当した。格闘技熱が高じ、相撲も勉強中。「力士の体は神秘的。あんなに大きくて“ぽちょんぽちょん”していて、凄く動けるじゃないですか!?柔らかいし瞬発力凄いし、どうなっているんだろう?」と興味津々だった。

 ≪同じ世界を別の方向から描いた2曲≫「エガオノキミヘ」は「鷲尾須美の章」のオープニングテーマ。鷲尾須美の章は、今年3月から劇場版3部作で先行公開され、その際のテーマ曲「サキワフハナ」も三森が歌った。サキワフハナは「鷲尾たちの力ではどうにもならない神様や自然の力など、運命を表現するような感じでした。(鷲尾たちが)花のように散っていく姿を描くような曲」だという。一方「エガオノキミヘ」は「登場人物の心情が描かれている」。同じ世界を別の方向から描いたものと解釈しており、「自分の中ではまとまりのある2曲」と話した。

 ◇結城友奈は勇者である 2014年に第1期放送。“神世紀300年”の四国が舞台で、讃州中学校「勇者部」2年生の結城友奈が、仲間たちとともに正体不明の敵「バーテックス」と戦う変身ヒロインアニメ。略称「ゆゆゆ」。三森は、かつて鷲尾須美という名の勇者だった東郷美森を演じた。第2期は前半6話を「鷲尾須美の章」とし、後半を第1期の続編「勇者の章」としている。「鷲尾須美の章」は今年3〜7月、3部作として劇場公開された。

 ◇三森すずこ(みもり・すずこ)6月28日、東京都生まれ。2010年に声優デビュー。同年から放送の「探偵オペラ ミルキィホームズ」シリーズ、12年からの「てーきゅう」シリーズ、13年からの「ラブライブ!」シリーズなどに出演。「ラブライブ!」の出演声優で結成したユニット「μ’s(ミューズ)」で2015年のNHK紅白歌合戦に出場するなど、歌手としても活躍。ユニット「ミルキィホームズ」やソロ歌手としても活動。趣味は料理、観劇、プロレス観戦。特技はダンス。血液型AB。

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