広島ドラ1・栗林 指名漏れの屈辱から2年 支えてくれた「カーブ」と「新妻」に恩返しだ

[ 2020年10月27日 05:30 ]

<ドラフト 栗林良吏> 広島からドラフト1位指名を受けた栗林良吏は笑顔を見せる (撮影・後藤 大輝)
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 「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が26日に都内のホテルで開かれ、トヨタ自動車・栗林良吏投手(24)は、広島に単独で1位指名された。大学時代の指名漏れを経て成り上がった社会人No・1右腕。広島は、昨年の森下に続き2年連続で即戦力右腕の一本釣りに成功した。

 広島からの1位指名を目にしたとき、心の傷がふさがるのを感じた。「2年前はプロ野球選手を諦めた。あの悔しさを忘れられたのかな…という気持ちです」。栗林が思ったのは、名城大4年生だった当時、3位以下なら社会人に進む意思を示して指名漏れした屈辱の一日だった。

 名門のトヨタ自動車に入部すると、同期5人の中にも指名漏れした選手がいた。「同じ経験をした子が一緒だったのは、心の支えになった。プロ野球選手になりたい夢をもう一度一緒に追いかけることができた」。2年後、ドラフト1位として成り上がった。

 社会人No・1右腕の評価を得るまでには、「2つの決断」があった。一つは、勝負球だったスライダーを捨てることだった。「高いレベルでやってこられた捕手の方々が“カーブの方が使える”と言っていただいたので、すぐに切り替えられた。スライダーに頼っているはずだった。トヨタに来てよかった」。カーブを磨くと緩急を利用できるようになり、最速153キロの直球がさらに生きた。

 そして、今年7月に、大学時代の同級生だった沙耶さん(24)と結婚した。「奧さんのために野球をやりたい気持ちもある。1年でも早く結果を出して“プロ野球選手になれてよかったね”と言ってもらえるように頑張りたい」。大学1年時から真剣交際。指名漏れから社会人時代の活躍まで、常にそばには沙耶さんがいた。

 昨年ドラ1の森下は、大学侍ジャパンで同僚だった。指名直後に携帯を見ると、「また一緒にやれますね」と連絡が入っていた。

 「森下は新人王を獲る勢い。森下が獲れれば、2年連続で自分が獲れるようにやっていきたいと思います」

 先発も救援も苦にせず、佐々岡監督は「競合を覚悟していた。直球の強さ、変化球の精度、制球も全て素晴らしい。森下と同等の活躍をしてくれると思う」と右腕への期待を隠せなかった。プロ入りまでの苦難は、広島に入団するための運命だったのかもしれない。(河合 洋介)

 【栗林選手はこんな人】
 ☆生まれとサイズ 1996年(平8)7月9日生まれ、愛知県愛西市出身の24歳。1メートル78、80キロ。右投げ右打ち。
 ☆球歴 愛知黎明2年秋に本格的に投手転向し甲子園出場なし。名城大1年春からリーグ戦登板し通算32勝。トヨタ自動車では1年目から公式戦登板。
 ☆こだわり 登板前に行うルーティンの数が異常。起床と同時に体を伸ばし、グラウンドには左足から入る。登板前に球を3度上に投げ、水を3口だけ飲んで、マウンドにお辞儀して…とこれでもほんの一部です。
 ☆憧れ 小学生の頃は、当時中日に在籍していた福留(現阪神)のファン。対戦を思い描き「三振が一番ですけど、アウトなら何でもいい」。

 《投壊を立て直す》育成を含む全指名7人のうち投手が6人。白武佳久スカウト部長は「90点」を付けた上で「2位で元(オリックス2位=中京)を獲れなかったのが誤算だけど、チームは投壊に近いし、ケガ人も多い。(2位の)森浦、(3位の)大道は即戦力に近いし、投手中心に獲れたのは良かった」と総括した。中でも社会人ナンバー1右腕のトヨタ自動車・栗林を1本釣りできたのは大きく「最初から決めていた。早川、佐藤で(1位指名が)割れると読んで公表しなかった」と明かした。

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