日本ハム1位指名・伊藤 手記につづった“人とは違う道”からプロ入りへの思い

[ 2020年10月27日 05:30 ]

プロ野球ドラフト会議2020 ( 2020年10月26日 )

直筆の色紙を持つ日本ハムからドラフト1位指名を受けた苫小牧駒大・伊藤大海
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 苫小牧駒大の最速156キロ右腕、伊藤大海投手(23)が日本ハムからドラフト1位指名を受けた。駒大苫小牧から入った駒大を1年途中で退学し、北海道に戻って再入学。人とは違う道を歩んできたからこそ芽生えた思いや、投手としての自身の進化を、スポニチ本紙に手記として寄せた。 12球団指名選手一覧

 ホッとしました。小さい頃からファイターズの試合は目にすることが多く、明るいチームだと思っていました。大学の途中で北海道に戻ってやり直した人間として、北海道の地でまた頑張ることができ、ありがたいことだと思います。

 駒大退学の決断をしたのは1年秋のリーグ戦中でした。最初に伝えたのは母(正美さん)で「明日帰ります」と。僕がそういう形で離れるというのは相当なことだと分かったようで、すぐに新幹線代を(口座に)入れてくれました。

 翌年春の苫小牧駒大入学後、しんどいとかは一度もなかったです。マイナスなことを考えるなら、プラスなことを考えている方が気持ちも楽だし、幸せ。今まで気付いていなかった部分により感動できるようになりました。規定で1年間、万全な状態なのに試合に出られませんでした。高校時代も早い段階から出ていたし、試合に出られることが当たり前になっていたんです。入学を喜んでくれた先輩やチームメートのためにも(2年春から)投げられるようになった時には下手なことはできないと。ずっと見守ってくれた大滝(敏之)監督に言われた「謙虚さが味方をつくる」は、今も大事にしている言葉です。

 転機になったのは、2年時の大学日本代表で経験した海外遠征(日米大学選手権とハーレム国際)です。骨格は全然違うが、繊細さとかは日本人の方がたけている部分があると。僕は(1メートル76で)体が大きい方じゃない。テクニカルな部分で、逆にこういうサイズ感でしかできないことをやろうと決めました。

 大学に入った時は160キロを投げたいという目標を持っていました。海外の大学生はポンポン160キロぐらい投げていたけど、僕が投げた150キロあるかないかぐらいの球でも空振りを奪えました。これを究めようと。スピードにこだわっていたところもありましたが、自分の良さに気付きました。

 それからは面白かったです。何もなかったからこそ、いろいろなことを学びたいという意欲が出てきました。知識も増えたし「明日これやろう」「来月これを調べてみよう」とか、一日が短かったです。今年は、緩急が変化球あっての真っすぐでなく、変化球からの変化球でも十分緩急になり得るのが昨年との違い。「伊藤大海=ストレート」と意識してもらえたのも大きかったです。

 こういう経歴だからこそ応援したいと思ってくれる人も多かったです。もし、自分と同じ気持ちで悩んでいる人がいるのなら、この選択肢も間違ってないと4年間で示せたかなと。これからは「伊藤大海が投げるなら球場に行こう」と思ってもらえる選手になりたいです。自分がこうなりたいとの思いでやり続けてきましたが、これからもその姿勢を変えずにできるかが、夢を与え続けられるかにつながる。色紙にはその思いを込めて「誰よりもひたむきで一生懸命である事。」と書きました。慢心してしまうならそれまでの選手。プロの中でのプロフェッショナルを目指していきます。

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