“隠し玉ハンター”菊地選手がドラフト採点!一芸ある個性派集結の日本ハムなど4球団が「大成功」

[ 2020年10月27日 05:32 ]

プロ野球ドラフト会議2020 ( 2020年10月26日 )

日本ハムから1位指名された苫小牧駒大・伊藤(撮影・高橋 茂夫)
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 スポニチ本紙でドラフト隠し玉選手を紹介する「発掘ナイン」を連載したフリーライターの菊地選手(38)がドラフト会議を総括した。12球団の指名を3段階で評価し、最高評価の「大成功」には日本ハム、楽天、阪神、中日の4球団を挙げた。またコロナ禍の影響から指名選手が減ることも懸念されていたが、育成を含め計123選手が指名され例年よりも広くプロが受け皿になったと指摘した。 12球団指名選手一覧  ノーカット 早大・早川 1位指名会見

 【大成功】
 ▼日本ハム 個人的には一番好きな指名です。1位の伊藤に始まり、一芸が効いていてキャラクターが立っている。100点に近いドラフトではないか。近未来の中軸となる清宮、野村らがいる中で、輝ける脇役をそろえた印象。課題の即戦力投手も1位で獲れた。

 ▼楽天 早川のクジが引けた時点で大成功と言っていいですよね。柱が一人獲れたので、あとは伸び伸びと指名していった印象。例年ポテンシャル重視の方針で5位・入江、6位・内は体に力があって、化ければ面白い。

 ▼阪神 スター候補生の佐藤が1位で獲れたのが大きい。大学生が多いが、使い勝手のいい投手や最上級生になって伸びた選手らバランスがいい。ただ野手は左打ちばかりで、現有戦力と照らすとどうか。遊撃で小幡が台頭してきたところで、6位・中野、7位・高寺と似たタイプがそろったのも気になります。

 ▼中日 地元出身の高橋、森と1、2位で指名できた。非常にボールの強い投手がそろい、3位・土田は守備に優れて遊撃レギュラーになれる逸材。個人的には根尾が外野に回り、土田と石川の三遊間になるのでは、というイメージを抱きます。

 【成功】
 ▼オリックス 最下位チームですが、小さくまとめずにいった。高校生が1~3位で、みんなスケールのある選手。最下位でも即戦力を追うことなく若い現有戦力を生かしていこうという方針。先を見据えた、新時代をつくっていく指名。

 ▼広島 投手が足りない中で、1~5位まで投手を指名できた。4位・小林、5位・行木は将来性重視と、その内訳もバランスがいい。ただ若い右打ちの野手が不足しており、そこがないのはマイナス点。

 ▼DeNA 一本釣りを狙う方針は健在でした。2位・牧も補強ポイントに合致する二塁手。1位・入江がどれぐらいできるかで評価が決まってくる。大化けすれば、この年は大成功だったね、となる。

 ▼ソフトバンク 評価が難しい。特殊なチームで生半可な選手では埋もれてしまう。一芸や分かりやすい武器など、ホークスらしい指名と思う。育成1位・佐藤は体が万全なら支配下1位でもおかしくない逸材。2年ぐらい投げられないかもしれないが、それを待つ戦力があり、無事復帰すれば最高の指名となる。

 【普通】
 ▼ヤクルト 2度もクジで負けたのが痛い。即戦力投手が欲しかったのはよく理解できます。ただ木沢はケガが多く、山野もプロでは球威が問われるところもあるかなと。

 ▼西武 数年後を見ないと分からない、イチかバチかではないが振り幅の大きい指名。2位・佐々木は即戦力かと思いきや、投げてみないと分からないロマン系。夢の広がる指名とも言えますね。

 ▼ロッテ 近年クジ運が良かったが、早川を逃したのが残念。ただ、左の先発・鈴木にシフトしクジも当て、4、5位はスケールの大きい選手を獲れている。

 ▼巨人 今まで巨人はバランス型というか、「中の上」のような選手が多かった。今回はエッジを利かせ、2メートルの選手が2人など大化けしたらとワクワクさせる陣容。今すぐ、という選手ではないところを獲り、優勝するチームらしい指名とも言えます。

 ≪連載紹介選手4人が“的中”≫菊地選手が連載「発掘ナイン」で紹介したドラフト隠し玉候補からは、西武5位・大曲、阪神8位・石井、中日育成1位・近藤、中日育成3位・松木平の4人が指名された。「近藤投手は生で見て、こんな投手がいたのかと驚く強い球を投げていた。見ている人は見ているなと改めて感じました」。指名漏れを残念がったのはBC福井の高橋康二投手。「2月で26歳という年齢的にラストチャンスかもと思っていた。この1年で直球が15キロ伸びた選手。残念です」とプロの厳しさも再確認していた。

 ◆菊地選手(きくちせんしゅ)1982年(昭57)生まれ。本名・菊地高弘。雑誌「野球小僧」「野球太郎」の編集部員を経て、2015年4月からフリーライターに。ドラフト候補の取材をメインに活動し、ツイッター上で「大谷翔平」とツイートした最初の人物(2010年10月8日)。野球部員の生態を分析する「野球部研究家」としても活動しつつ、さまざまな媒体で選手視点からの記事を寄稿している。著書にあるある本の元祖「野球部あるある」(集英社)などがある。ツイッターアカウント:@kikuchiplayer

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