野田元首相、安倍元首相の追悼演説秘話 各方面へバランス調整「あの演説が一番難しかった」

[ 2023年1月29日 16:57 ]

 立憲民主党の野田佳彦元首相(65)が29日、ABEMA「ABEMA的ニュースショー」(日曜正午)にゲストで生出演し、昨年死去した安倍晋三元首相の追悼演説の裏話を披露した。

 野田氏は安倍元首相と当選同期だった。民主党政権で首相を務めた2012年には、安倍元首相と歴史的な党首討論を繰り広げ、解散総選挙を経て第1次安倍内閣が誕生。野田氏は政権交代の当事者となった。

 凶弾に倒れた安倍元首相の生前、国会の場で議論を戦わせた野田氏に、10月の衆院本会議での追悼演説のお願いが舞い込んだ。「オファーがあったのが10月7日。実際に追悼演説があったのが25日だったので、十数日前」。自民からの申し出は「ご遺族の意向と自民党の総意ということだった」といい、「お断りするわけにはいかない」と快諾したという。

 9月に執り行われた国葬では、菅義秀前首相の情感あふれる弔辞が話題になった。野田氏は「菅さんのように同じ党にいて仕事したわけじゃない。エピソードは限られてますよね」と苦悩を告白。「前内閣総理大臣から見た安倍晋三さんしか見ていないので、そこから見た安倍晋三さんを一生懸命語った」と振り返った。

 演説では、言葉使いにも注意したという。「勝ちっぱなしはないでしょう、安倍さん」と語りかけるような文言があったが、当初の原稿は「勝ち逃げ」としていた。「私から見れば勝ち逃げなんですけど、あのお亡くなり方は逃げたわけじゃないんですよ。それは失礼だなとか」。他にも「歴史の法廷に被告として永遠に立ち続けなければならない運命」とした部分から、「被告として」を削除。「あなたが放った強烈な光、その先に伸びた影」も、当初は「黒い影」としていたとそうで、「ご遺族もいらっしゃる中できついかなと。“暗い”は取って」と説明した。

 政治家として、数々の舞台で演説を行ってきた野田氏。遺族への配慮はもちろん、与野党への印象という多方面でバランスを取る必要があったという。「自分が総理の時の施政方針演説とか、所信表明とか、国連総会で国連演説とかやったこともありますけど、大きな舞台でいろんな演説をやってきたけど、あの演説が一番難しかったですね」と本音を明かしていた。

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2023年1月29日のニュース