羽生九段が投げ込んだ変化球「雁木囲い」とは…王の守りが薄く 攻め込まれた際には注意 後手ではレア

[ 2023年1月29日 05:05 ]

第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第3局第1日 ( 2023年1月28日    金沢市「金沢東急ホテル」 )

20手目(△5ニ金まで)
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 将棋の第72期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負第3局は28日、石川県金沢市の金沢東急ホテルで第1日を行い、羽生善治九段(52)が意表を突く雁木(がんぎ)囲いを実施。後手ながら藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=を揺さぶる変化球を投げ込んだ。

 羽生が選択した「雁木」。江戸時代に生まれた将棋の囲いの一つで、雁の群れがジグザグ斜めに連なって飛ぶ様子に見立てて、この呼称がついたとされる。自分の王の前に金と銀を屋根のように配置する形が一般的。少ない手数で囲いを完成でき、相手の攻めに柔軟に応戦できることが利点だ。ただし王の守りが薄く、攻め込まれた際には注意が必要となる。

 プロ棋戦では平成以降ほぼ指されない時期があったが、AIの発展によりバランスの取れた陣形が再評価。雁木を得意とする増田康宏六段(25)は、今年2月24日発売予定の著書「現代将棋ってこういうこと」(マイナビ出版)の目次で当初、雁木について「大体終わってる」と記していた。現在は「先手に主導権」に変更。「指す人が減り、さらに後手番の場合は一方的に攻められる展開になりやすい」と評した。

 ではなぜ、羽生はリスクのある囲いを選んだのか。増田は「対雁木は藤井さんにとってあまり経験がない。羽生先生が雁木を指し驚いたが、そういった部分も考慮したのでは」と分析した。
 羽生はこの日、20手目△5二金(※)で雁木の構えとした。この後のポイントは構想力。増田は「少し囲いが乱れているので、うまくまとめられるか。勝負の分かれ目になると思います」と語った。

 ≪後手で雁木はレア≫日本将棋連盟のデータベースによると、羽生の後手番での戦型1位は矢倉で23.7%。横歩取りが15.8%で続く。雁木はヒットしないが、このデータは相手の戦型や駒組みの途中経過にも影響されるため、必ずしも実情を反映しているとは限らない。それでも後手で雁木を選ぶのはかなりのレアケースだ。

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