坂本龍一 入退院の合間に「自分を回復させるため」音を浴びたい気持ちから曲作り、新アルバム誕生

[ 2023年2月13日 13:42 ]

坂本龍一
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 音楽家の坂本龍一(71)が12日放送のテレビ朝日系バラエティー番組「関ジャム 完全燃SHOW」で、ピアニスト清塚信也氏(40)らの質問に、1万5000字以上に及ぶ文章で回答した。

 坂本は2014年に中咽頭がんと診断され寛解するも、21年1月に直腸がんの治療を受けていることを公表。昨年6月には、自身が「ステージ4」で、両肺に転移したがんの摘出手術を前年10、12月に受けたことを文芸誌で明かしている。この日は、番組ゲストで登場した同業者の質問に、丁寧に文書で応じた。

 先月発売された約6年ぶりのオリジナルアルバム「12」に込めた思いについて問われると、「思いは込めてないです。1曲1曲には何か、そのときの感情や何かが入っていると思うのですが、ほぼ100%自分のためというか…」と答えた。

 「病気で入退院を繰り返している合間に作っていた曲なのですが、本当に体力が落ちている時は、音楽を聴くこともできない状態だったのだけど、少し体力が回復した時に、何か音を浴びたいという気持ちになり、近くにあったシンセに手を触れました」と、闘病生活の中で始まった創作を回想。「何も考えず、シンセの音に浸るというか、自分を回復させるために、まるで森林浴のように。そこから始まっているので“思い”というのではなく、その時の心と身体の状態がそのまま出ている、そういうものだと思います」とした。

 「元々、あまり思いを込めて音楽を作ったことはないんです」と告白。ウクライナや福島のために作った特別な曲もあるが「そうではない曲は多い」といい、「皆さんが文字で日記を書くように、僕の場合は音で日記を書いたというだけなんです。そのことはなかなか理解されにくいのかもしれませんが」とつづった。
 

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2023年2月13日のニュース