これは秀逸 “三笘の1ミリ”に気象学者が名回答「もしこれがノーゴールなら、陸上に生命はいません」

[ 2022年12月5日 16:31 ]

ゴールライン際のボールを折り返した三笘(AP)
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 「三笘の1ミリ」論争について、ユニークな名回答が飛び出して、SNS上で話題となっている。

 それは「お茶の水女子大学理学部情報科学科・大学院理学専攻情報科学コースにおける神山研究室(通称TK研)」が「お茶大気象学研究室(OchaMet)」で4日に発信したツイートで、同大学の神山翼助教が更新したものだ。

 「三笘選手の蹴り返したボール(半径11 cm)が1.88 mm(半径の1.7%)だけライン上にギリギリ残っていたことでゴールが認められ、スペイン戦に勝利したそうですね。我々の住む地球大気(対流圏)の薄さ16 kmは、地球半径6371 kmの0.3%です。もしこれがノーゴールなら、陸上に生命はいません」

 何ともユニークな内容だが、話題はサッカーFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会のものだ。1次リーグE組で日本がスペインを下した一戦で、逆転ゴールをアシストしたMF三笘薫(25=ブライトン)の折り返しについてのもの。際どい位置からのセンタリングに対しては、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)がゴールライン付近を撮影するカメラの画像を確認しても判断するのに約2分半を要した。国際サッカー連盟(FIFA)はその後、声明を発表。映す角度によって線と球の位置関係が異なって見える動画を添え「誤解を招く画像もあるかもしれないが、証拠を集めた結果、ボールの全体が線の外には出ていなかった」としている。

 このギリギリの中で生まれた日本の決勝点は、もはや社会現象というほど話題となった。「お茶大気象学研究室(OchaMet)」は前述のツイートに加え、「地球半径(固体地球と地球大気を合わせた部分の半径)が約6400kmなのに対し、大気の薄さが16kmで0.3%と言った方が、たとえとしてはより正確だったかもしれません。『地球』に地球大気を含めないという定義だと、ノーゴールになってしまいますので。笑」など、専門的な切り口ながらも、斬新な視点とユニークな語り口でつづった。また、また気象学について、同ツイッターで神山翼助教は「これよりも薄い地球大気に我々は住んでいます。気象学は、このような薄い膜の中の現象を明らかにする学問です」と説明。サッカーボールを地球に置き換えた画像で解説もしている。

 秀逸ともいえるこの投稿には反響も大きく、5日の17時時点で8万を超える「いいね」が付く盛況ぶり。「この考え方凄く好き」「極めて真面目にバカな図解してて好感しかない。笑」「この時事ネタを利用して気象学をアウトリーチする機転がもう流石としか言いようがない」「いやマジすごい喩え」「ボールのたった1.7%と侮るなかれ、ってことですね」など多くの声が寄せられ、話題となっている。

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