社会人野球で奮闘する「元プロ」たちは選手だけではない

[ 2019年7月28日 09:00 ]

都市対抗出場を決めた試合後、スコアボードを背に記念撮影する(左から)パナソニックの阪口コーチ、田中コーチ、金森コーチ=パナソニック提供
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 今年の都市対抗野球大会は、元DeNAの須田幸太投手が全5試合に登板して4勝を挙げ、JFE東日本を初優勝へ導いた。他にも今大会では元DeNA、ソフトバンクの細山田武史捕手(トヨタ自動車)、元ヤクルトの児山祐斗投手(シティライト岡山)、元阪神の玉置隆投手(日本製鉄鹿島)らが奮闘。ただ、力を発揮した「元プロ」は選手だけではない。

 パナソニックは田中充打撃コーチ(39=元横浜)、金森敬之投手コーチ(34=元日本ハム、ロッテ)、阪口哲也守備走塁コーチ(26=元阪神)の3人がプロ野球経験者。その1人、金森コーチは日本ハムとロッテで通算87試合に登板し、右腕からの力のある直球やフォークを武器に6勝を挙げた。昨年、現役投手としてパナソニックに加入し、今年からコーチに就任。「プロではいろんな監督、コーチにお世話になりました。現役時代はメモを取るタイプではありませんでしたが、いろんな言葉が印象に残っている」。現役時代に受けたアドバイスが指導の引き出しになっていると感謝する。

 若手の頃は投手コーチの佐藤義則氏(現楽天コーチ)、吉井理人氏(現ロッテコーチ)らに師事。プロでの財産は、これだけにとどまらない。チームメートだった稲葉篤紀氏(現侍ジャパン監督)、金子誠氏(現日本ハムコーチ)には「野手目線の考え方を教わった。かなりプラスになっている」といい、チームの投手陣に伝えている。中嶋聡氏(現オリックス2軍監督)には捕手側からの野球の見方を学んだ。

 チームは今大会で3勝し、準々決勝まで進出。優勝したJFE東日本に1―3で敗れたが、4戦合計でわずか4失点と投手陣の奮闘ぶりが光っていた。中でも収穫は、新人以外の8投手全員を起用しての好結果であることだ。不振だった右腕・北出も、投球時の下半身の使い方などを改善して復活。金森コーチは「投手陣がゼロで抑えたら負けない。みんなポテンシャルは持っていた。素晴らしかった」とねぎらった。

 「もっとできたかな、という部分はある。もう一つレベルを上げたい」。その視線は、早くも次へと向いている。(記者コラム・大林 幹雄)

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