【和歌山】智弁和歌山、盤石で決勝へ 1年生4番徳丸4安打、主将黒川、今夏1号3ラン

[ 2019年7月28日 13:28 ]

第101回全国高校野球選手権和歌山大会 準決勝   智弁和歌山9―0南部(7回コールド) ( 2019年7月28日    紀三井寺 )

<南部・智弁和歌山>6回裏1死一、二塁、右中間に3点本塁打を放ち、ダイヤモンドを回る智弁和歌山・黒川
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 和歌浦から吹く逆風の浜風を突き、智弁和歌山・黒川史陽(3年)の今夏1号アーチは右中間芝生席に飛び込んだ。

 「前の打席(四球)でいいタイミングがとれていました。高く上がり過ぎましたが、入ってくれました。チャンスで打てたことが一番ですね」。6回裏1死一、二塁、3―0から突き放す3ランだった。

 黒川が「努力している姿を知っているので、打って当たり前」と目を細めたのは1年生で4番を打つ徳丸天晴(1年)が4打数4安打と活躍したことだ。ともに下宿で独り暮らしをする。練習後、徳丸はバットを手に自転車で黒川の部屋を訪ねてくる。同じく下宿組の細川凌平(2年)とともに行う夜の素振りは日課だそうだ。「気がついたことはアドバイスしますが、僕もアイツから学ぶこともある」

 徳丸は「チャンスで打てたのが良かった」と先輩・黒川と同じ感想を言った。1回裏2死二塁で左前にライナーで先制打。3、5回裏は無走者で安打、6回裏は再び2死二塁で左前適時打した。

 「自分の中では下半身で打つイメージを大切にしています。ダメな時はどうしても手で打ちにいってましたので。今日は右足の軸足を中心に、上半身を楽にして打てました」。黒川らとの夜の素振りが実ったのだろう。

 今大会は4試合とも4番に座り、通算13打数8安打、打率・615、1本塁打、テーマの打点は8を数える。

 中谷仁監督(40)は「1年生らしく、怖さ知らずで、どんどん打ちにいっているのが、いい結果につながっている」とみている。「前後の先輩がしっかりしているからこそ、気楽にいけるのでしょう」

 昨秋の新人戦で零敗を喫していた南部が相手だった。昨秋の近畿大会予選、今春と連勝していたが「苦しい戦いを予想していましたが、投手がよく投げてくれたので、リズム良く攻撃に入れました」と黒川は言う。

 この日は先発の背番号17の左腕、矢田真那斗(2年)が6回をわずか69球、2安打で零封。矢田は「テンポが命なので」と早い投球間隔で好投した。「打たせてとるタイプなので、球数が少ないのは自分の投球ができていることだと思う」

 7回コールドを決める最終回の7回は背番号1のエース、池田陽佑(3年)が締めた。相手に二塁すら踏ませなかった。

 これで今大会4試合を依然無失点で決勝に進出する。黒川は主将として「捕手の東妻の存在が大きい」と話す。「頼りになる存在として座ってくれているので、投手はもちろん、守備も締まってくる」。

 自身も現役時代は捕手で、捕手には厳しい中谷監督も「センバツ以降、かなり強化してきましたから」と東妻純平(3年)の成長を認めた。「配球なり、1球の怖さなりを彼もずいぶん分かるようになった」

 目標はむろん日本一。センバツ優勝の東邦や龍谷大平安、横浜、大阪桐蔭……と強豪が軒並み姿を消すなど、波乱含みの夏。智弁和歌山は堂々の戦いで甲子園まで「あと1勝」と迫った。

 紀伊半島を台風が横断した前日27日。控えの選手たちは天気予報をにらみながら、台風通過後の午後からの練習に備えた。中谷監督は「彼らのグラウンド整備はすごかった。本当に阪神園芸並みでした」と、阪神時代に肌で知る“神整備”にたとえて、控え選手をたたえた。

 「ベンチに入っていない者も含め、本当に36人全員が戦力。全員で戦っていきます」

 全員野球という、盤石の体勢が整いつつある。(内田 雅也)

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