天理の背番号19・嶋田 必死の声出し、チーム元気づけた 箕島で春夏連覇の伯父に負けぬ輝き

[ 2020年8月11日 22:18 ]

2020年甲子園高校野球交流試合   天理2―4広島新庄 ( 2020年8月11日    甲子園 )

<天理・広島新庄>ベンチから声でナインを鼓舞する天理・嶋田(中央)(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 ベンチでヘルメットをかぶり、誰よりも大きな声を出す。それが自分の仕事だと分かっていた。天理の背番号19、控え投手の嶋田優心(3年)。こんな選手がいるから天理は全国区の強豪校であり続けるのだろう。

 「チームのために何ができるのかを考えてやりました。僕にできるのはチームを元気づけることだと思った」

 登板機会はない。力投したエースの庭野夢叶(3年)がいて、リリーフもいる。たった1試合の甲子園。マウンドに上がらなくても、チームに貢献はできる。大きな声と行動力。ヘルメットをかぶっていた。いつでもバット引きに出ていける準備だった。

 父・保さん(55)に連れられ、幼少時に1度来た甲子園。その夢舞台を身近に感じられる存在がいた。伯父にあたる北野敏史さん。79年に春夏連覇を達成した箕島(和歌山)の4番打者。センバツ決勝で浪商(現大体大浪商)の牛島和彦(現スポニチ本紙評論家)からサイクル安打を放った名選手で「動画や新聞記事を見ました」。大阪市内の実家が近く、中学まで打撃や投げ方を教わった。甲子園が強い憧れになった。

 背番号17で臨む予定だったセンバツが中止。夏の甲子園もなくなった。「つらいこともあった」と振り返るが、周囲の支えがあってコロナ禍の自粛期間中も自主練習を続けた。名前は優しい心と書いて「優心(ゆうしん)」。人を思う心が嶋田を突き動かした。

 「試合には出られなかったけどチームのために1試合だけでもできてうれしい」。春夏連覇した伯父さんに負けないくらい、ベンチの嶋田も輝いていた。(秋村 誠人)

 ◆嶋田 優心(しまだ・ゆうしん)2002年(平14)11月11日生まれ、大阪市出身の17歳。小1年からソフトボールを始めて捕手。小4から野球に転向し、住吉大和川リトルで投手。八尾河内ボーイズを経て、東住吉中では松原ボーイズで投手、三塁手として全国大会ベスト8、カル・リプケン世界大会では準優勝した。昨秋は背番号17で3試合に登板。1メートル72、77キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2020年8月11日のニュース