佐久長聖 3年生52人全員野球で2年ぶりV!梅野完封、飯山の連覇阻止

[ 2020年8月11日 05:33 ]

長野大会・決勝   佐久長聖9―0飯山 ( 2020年8月10日    オリスタ )

優勝し喜ぶ佐久長聖の選手たち
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 決勝が行われ、佐久長聖が9―0で昨夏優勝の飯山に大勝し、2年ぶり王座に就いた。初回2死からプロ注目の常田唯斗(3年)に機動力を絡めての5連打を浴びせて3点を先取。5回にも4点を追加し、大量リードを奪った。守っては初先発のエース梅野峻介(3年)が巧みな一塁けん制も駆使して三塁を踏ませず9三振2安打完封。コロナ禍で甲子園のない特別な夏に、大会を通じ3年生部員全52人をベンチ入りさせて全員野球を貫き、参加78チームの頂点に立った。

 27個目のアウトを遊ゴロで奪うと大きくジャンプした。124球で2安打完封。梅野は「うれしい。凄く達成感があります」と2年ぶり奪冠の喜びをかみ締めた。

 準備不足で迎えた特別な夏。1週間500球の制限もあり、ここまでは救援登板。羽毛田、川中子らの頑張りでようやく立てた先発マウンドで、これぞエースの投球を見せた。初回2死、藤原主将からの5連打で3点の援護をもらい「リラックスできた」。打者ごとに狙いを観察してタイミングを変え、切れの良い直球、変化球をコースに投げ込んだ。

 5四球を与えたが、2、3、4回と一走をけん制で刺し、三塁を踏ませなかった。コツをつかんだのは1年前。学校近くでネコと目を合わせると止まったことで「ひらめいた」という。まず「(走者の)目と重心を見て」気配を探り「刺す時は目を合わせない」で逆を突く必殺技は大一番でもさえ渡った。

 千曲ボーイズ時代はU―15日本代表に選ばれ、日本一経験校にも誘われた。だが、佐久長聖の遊撃手だった3歳上の兄・遼太郎(現桜美林大)が3年夏の決勝で最後の打者となり松商学園に敗れたことで故郷に残り、同じユニホームを選んだ。

 だが5月20日、最後の甲子園のチャンスが消え、部屋で涙した。藤原監督から「おまえが切り替えなきゃチームにも良くない」と自覚を促され、兄からLINEで「高校野球が全てじゃないよ」と励まされたという。

 コロナ禍に苦しみながらも仲間と支え合い、兄たちが苦杯を喫した因縁のオリスタでうれし涙を流した左腕。「悲しいことが多かった。逆境の中でもやってきたことは間違いじゃなかった」。栄冠を自信に神宮の星を目指して学生球界に羽ばたく。(高地 浩志)

 ▼藤原弘介監督 3年生52人全員の力で勝ち取れた優勝。本当にうれしく思います。試合をごとに成長してくれた。初回に点を取ってくれたんでこのままいけるんじゃないかと思いました。3年間、野球に真剣に向き合ったからこういう野球ができたのではないか。最高の3年生と厳しい状況でも野球ができて、最高でした。

 ≪藤原主将、歓喜の涙≫藤原太郎主将が先制劇の幕を開けた。試合前のトスで先攻を選んで迎えた初回、2死から中前打を放つと続く堀とのエンドランで一気に生還。準決勝でも一挙6点を勝ち越した8回に二塁打で口火を切るなど、1年夏に唯一甲子園を経験した背番号4はここぞで流れを引き寄せた。3年生だけでも52人の大所帯を機会あるごとにミーティングでまとめてきた主将は「甲子園がなくても3年生は一生懸命やるんだという姿を(後輩に)見せたかった。長聖らしい野球ができた」と歓喜の涙で最後の夏を締めくくった。

 ≪4番・堀、感謝の先制打≫佐久長聖の4番・堀恭輔(3年)が先制の二塁打。「ベンチに入ってない3年生の分も打ってやろうと思っていた」と目を潤ませた。準決勝まで5戦中4戦で4番も14の3、3打点。それでも仲間から“おまえが打てば皆が乗るんだ”と励まされ、前日は常田対策の打撃練習に3年生が交代で打撃投手を務めてくれた。それだけに「皆の力で打てた」と感謝しきりだった。

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