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橘高淳審判員 60歳定年の年に歴史の証人に 元NPB審判員記者が教わった「ストライクゾーンの金言」

[ 2022年4月17日 07:30 ]

ロッテ・佐々木朗が完全試合を達成した試合で球審を務めた橘高審判員
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 ロッテの佐々木朗希投手(20)が10日のオリックス戦で史上16人目の完全試合を達成した。13者連続奪三振のプロ野球新記録も樹立し、95年の野田浩司(オリックス)に並ぶ1試合最多の19三振を奪った。球審を務めた橘高淳審判員(59)は、60歳の定年を迎えるシーズンに歴史の証人となった。

 アマチュア野球担当の私は当日、大田スタジアム(東京)で行われた首都大学リーグの3試合を取材した。観戦する大学野球ファンやリーグを運営するスタッフも、配信映像やネット速報などを通じてリアルタイムで試合をチェックしていた。11年から16年までNPB審判員を務めた私はついつい、審判員目線で考えてしまう。

 日本中が三振記録と完全試合の達成に注目した中で、橘高球審の投球判定は正確だった。もちろん主役は佐々木朗、捕手の松川、そしてバックの守備であり、対決したオリックスの選手。だが、38年目の球審は求められる「当たり前の仕事」をしたことでゲームに余計な「ノイズ」が入ることはなかった。

 「どうすれば正確なストライクゾーンで判定することができますか…」。私は、NPB審判員2年目だった12年に橘高審判員に聞いたことがある。若手審判員は「ダブルヘッダー」で技量を高めていく。鳴尾浜でデーゲームの2軍戦の審判を担当した後、甲子園でナイターの1軍戦を見学。その日は控えだった橘高審判員に先述の質問をぶつけると「あまり難しく考えるな。本当にギリギリの球は1試合に10球くらい。“それを正確にジャッジする”とだけ考えれば楽になれる」と心構えを語ってくれた。

 両軍が1試合に投じる約300球を「全部正確に判定しよう」と力んでいた私にとって、考えたこともない発想。長年、プレッシャーの中でジャッジしてきた末に到達した境地だったのだろう。

 今度、お会いした際には佐々木朗の歴史的偉業を裁いた時はどんな心境だったのか伺ってみたい。だが、またあきれ顔で言われるかもしれない。「あまり難しく考えるな」と。(記者コラム・柳内 遼平)

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