小芝風花 主演映画「貞子DX」 ホラーなのに「掛け合いがポップ」

[ 2022年10月21日 08:00 ]

ホラー映画「貞子DX」のポップな部分について語った小芝風花
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 【牧 元一の孤人焦点】俳優・小芝風花(25)の魅力を満喫できるホラー作品が誕生した。28日に公開される映画「貞子DX」(木村ひさし監督)だ。

 世界的に人気となった「リング」シリーズの新作だが、小芝が演じる主人公・文華と、川村壱馬(25)が演じる王司の掛け合いに面白みがあり、怖い物語の中で笑いを生んでいる。演技力に加え、コメディエンヌの素養もある小芝を主演に迎えたからこそ誕生した作品と言える。

 インタビューに応じた小芝は「台本を読んだら、掛け合いがポップで、思ったよりライトでした。掛け合いに寄りすぎるとホラーの緊迫感が薄くなってしまうし、掛け合いのテンポが良くないと普通のホラーになってしまう。緊迫感とポップのバランスが難しかったです。ホラーが苦手な人も見やすい作品になっていると思います」と話す。

 本人は実はホラーが苦手。映画「リング」も家族と一緒にDVDで見たことがあるそうだが、手で顔を隠して指の隙間からのぞくような感じだったという。

 小芝は「霊の存在を信じてます。心霊スポットは呪われるから行きたくないし、お化け屋敷も本物が紛れている可能性があるから絶対に行きたくない。自分に霊がついているかどうかも気になるので、見える人や感じる人が近くにいたらすぐに『私、ついてます?』と聞いちゃいます。以前、番組で見てもらったら、私はつかれやすいけれど運が良くて違う人にパッと移ってしまうということでした。つかれやすいんだ…と、ちょっと心配になったことがあります」と話す。

 実は子供の頃、地元の大阪の自宅で、怖い体験をしたことがある。

 「2階の子供部屋に、お店のレジのおもちゃが置いてありました。そのおもちゃはボタンを押すと『いらっしゃいませ』と言うんです。ある日、私が学校から帰ると、家に誰もいないはずなのに2階から『いらっしゃいませ、いらっしゃいませ…』と連続でボタンを押す音が聞こえてきて、怖くて2階に行かれなくなっちゃいました。大阪のその家は凄く古くて、霊道が通っていたらしいです。私は音しか聞いてないですけど、母は2回くらい見たと言ってました」

 そんな恐怖体験があるため、映画「貞子DX」の撮影現場も、クランクイン前は恐れを抱く対象だった。

 「お塩を持って行った方がいいかな、ちゃんとおはらいをした方がいいかな、と思ってました。でも、現場に入ると全く怖いことはなかったです。ホラーは見るよりも撮影に関わっている方が怖くないんだと思いました。貞子と対峙するシーンも明るい時間に撮りましたし、貞子役の方にも『よろしくお願いします』とあいさつして撮影を始めました。ただ、貞子の動きは生きている人の動きとは違うので、近くで演じていて本当に怖かったです。この作品も普通に見に行ったら、めちゃめちゃ怖いと思います」

 撮影の中で特に気を配ったのが、王司役の川村との掛け合いの場面だった。

 「川村さんと私の性格と、王司と文華の性格が逆だったんです。川村さんは普段、文華のように落ち着いている方。私は普段、王司のような役を演じることが多い。お互いに『逆だったらやりやすかったね』と言いました。二人の掛け合いは、面白いことをやろうとする感覚を持ってしまうと作風が変わってしまうので、なるべく文華の素の行動としてやるようにして、それが客観的に見て面白ければいいなと思いました」

 お笑いで言えば王司がボケで文華がツッコミの関係性。文華が王司から名字ではなく名前で呼ばれると、いちいち真顔で「名前で呼ばないでください!」とくぎを刺す場面などに小芝の絶妙な芝居を感じる。

 「『近い!』とかも、撮影中にたまたま勢い余って川村さんとの距離が近くなった時にポーンと出したら採用されました」

 文華は「IQ200の天才大学院生」という設定。クイズ番組に出演している東大生をイメージして演じたという。

 「私のことを知ってくださっている方は、私がちょっと勉強が苦手だと分かっていらっしゃると思います。『IQ200』という役柄はこの作品でしか見られないと思うので、ぜひご覧ください」

 本格ホラーでありながら、小芝の役者としての面白さを堪能できる貴重な一作だ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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