尾上菊之助 ドラマ「探偵ロマンス」で実感 「草刈さんのようになりたいと思った」

[ 2023年2月10日 12:10 ]

ドラマ「探偵ロマンス」で住良木平吉を演じる尾上菊之助(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHKのドラマ「探偵ロマンス」(土曜後10・00、全4話)に出演する歌舞伎俳優の尾上菊之助(45)が11日の最終回放送を前に取材に応じた。

 上海帰りの貿易商・住良木平吉役。会員制の秘密倶楽部「赤い部屋」に出入りする謎めいた人物だ。

 「脚本の坪田文先生が全4話以前の話、『ストーリー・ゼロ』の住良木について書いてくださっていた。そこには白井三郎(草刈正雄)との関わりが濃密に書かれてあった。住良木は屈折した生き方をしてきて、三郎に対して、あこがれというか恋心というか、焦がれているようなところがある。ミステリアスな部分をどのように出すかというところを監督と相談して演じた」

 4日放送の第3話で住良木は郷田初之助(泉澤祐希)が平井太郎(濱田岳)の話をしようとすると「あなたの話を聞かせてください」とさえぎり「僕はあなたの物語が聞きたいです」と促した。

 「住良木を何かに例えるならば、バク。若者に夢を抱かせ、それを食らう人間だと思う。演じるに当たっては、人の心の奥底を探っていきたいという気持ちを意識した。このドラマは各場面が短く区切られていて、第1話から第3話までが第4話の伏線のようになっている。短い場面の中で、住良木のキャラクターを印象づけられるように心がけた」

 第3話では、三郎の昔なじみのお勢(宮田圭子)が実は住良木が変装した姿だったことが明らかになった。第4話では、いよいよ住良木と三郎が対峙することになる。

 「草刈さんと共演させていただき、草刈さんのようになりたいと思った。たたずまいが格好いいのはもちろんのことだが、現場でご一緒して非常に温かさを感じた。話しかけてくださり、こちらの話をよく聞いてくださった。何より、仕事に対する姿勢に尊敬の念を抱いた。草刈さんは本読み当日、既にセリフを全て覚えていて、台本を読まなかった。そうした姿勢が、人間の情や重みになって、体からにじみ出ていると感じた」

 濱田岳とは連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(2021年~22年)以来の共演。今回のドラマは演出の安達もじり氏をはじめ、「カムカム」のスタッフが集結して制作された。

 「算太のおじさん(濱田)が懐かしく、今回は対峙する役でお会いできてうれしかった。『カムカム』チームはプロフェッショナルの集まり。監督が言いたいこと以上のことを助監督が現場に伝えてくれて、スタッフとの連携が取りやすく、現場が温かい」

 ドラマの見どころの一つがアクションシーン。第4話にはその集大成となる場面があり、自身も難度の高いワイヤーアクションに挑んだ。

 「4階建てのところに吊ってもらった。結構高くて怖かった。もちろん、そんな高さから飛び降りたことはない。太郎、三郎と対峙した後のアクションなので、視聴者のみなさまにハラハラして見ていただければ幸せ」

 クライマックスの時が間もなく訪れる。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2023年2月10日のニュース