【女優助演賞】「護られなかった者たちへ」清原果耶 苦労をも楽しく「生きて作品の中にいられた」

[ 2022年1月20日 05:30 ]

2021年(第76回)毎日映画コンクール各賞決定 ( 2022年1月19日 )

女優助演賞を受賞した清原果耶(撮影・西尾 大助)
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 「護られなかった者たちへ」の演技で女優助演賞に輝いた清原果耶(19)は「まさか自分が、と驚き…」と話しつつ「“よかったな。生きて作品の中にいられたんだな”と思いました」と受賞の感想を口にした。

 役柄は複雑だ。東日本大震災で被災し、立ち直ろうとする中で世間の不条理に直面。憎悪を内に秘めながら、福祉保健事務所でケースワーカーとして働く寡黙な女性を演じる。昨年、主演を務めたNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」に続いての被災者役だが、ドラマの朗らかな役柄とは真逆ともいえる。「同じ震災が題材でも作品が違えば脚本も役柄も違う。そこに向き合っていければいいなと思いました」と完璧な役作りを見せた。

 「私は凄く悩む人間なんです。けどそのたびに、これでもかというほど聞きにいく」と話す。約1カ月の撮影期間中は、瀬々敬久監督(61)と「毎日脚本を読みながら、細かい調整をした」。

 クランクイン前には役柄の女性の出身地、宮城県気仙沼市を訪問し、被災者の話を聞いて、可能な限り思いをくみ上げた。「100%できているかは断言できないけど、そこで生まれたくらいの演技で溶け込めていられたらいいな」と話す。演じる役に対する圧倒的なストイックさが、高い演技力の根幹だ。

 故原節子さんや吉永小百合(76)ら大女優と比較する声もある。「独り歩きですよ…」と苦笑いする姿は19歳の少女そのものだが、今後の目標を聞かれ「引き続き、芝居を楽しんでいられるだけでいいかな、と思っています」。苦労をも楽しく感じる、演技の申し子だ。(桑原 淳)

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