「鎌倉殿の13人」小栗旬 1年半で“演技レベル8UP”「使える魔法2つが増えました」役の深掘りに自信

[ 2022年11月20日 11:00 ]

「鎌倉殿の13人」北条義時役・小栗旬インタビュー(2)

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の撮影を完走し、約1年半にわたる長丁場の撮影を振り返った小栗旬(第44回「審判の日」の1シーン)(C)NHK
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)も残り5回。いよいよ物語は“最終決戦”「承久の乱」(1221年、承久3年)へと向かう。小栗は米の勘定の方が向いていた伊豆の小豪族の次男坊から“漆黒の執権”への主人公・北条義時の変化を、まざまざと体現。約1年5カ月にわたった長丁場の撮影を振り返り、演技について「後半は『とにかく自分は小栗旬という器を使って北条義時という人物になっていけばいい』という感覚になれたのは、ある意味、1つの自信にはなりました」「RPGで言えば、僕、8レベルぐらい上がったと思います(笑)。使える魔法が2つぐらい増えたと思います(笑)」と自負を明かした。

 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。物語は、江戸幕府まで続く強固な武家政権樹立を決定づけた義時と朝廷の決戦「承久の乱」へと向かう。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は大河出演8作目にして初主演に挑んだ。

 今年5月に放送された同局「プロフェッショナル 仕事の流儀 小栗旬スペシャル」。今作のオファーがあった際の心境を問われ、18年の大河ドラマ「西郷どん」の主演を務めた俳優・鈴木亮平からの言葉「とにかく自分の人間力がもの凄く大きくなる参加だと思う、常に自分の人間力を試されているような気がする現場だった」を明かした。

 実際はどうだったのか。

 「小栗旬個人としての成長は、特にありませんね。ただ俳優としては、1年5カ月という時間をかけさせていただいたおかげで、1人の人間を演じるということは、ここまで深く台本を読み取っていかなければならないんだと、あらためて痛感しました。もちろん今までも同じように作品に臨んできたつもりではあるんですけど、過去の自分を反省するばかりです。義時という役を演じてきて、回を重ねれば重ねるほど、『どうして今、この台詞を言うことになったのか』と考える時間が非常に多くなりました。だからこそ、お客さんに楽しんでいただける作品になっているのかなという気がします。通常の映画やドラマに入った時も、本当は初日の段階でこのぐらいの自分でいないといけない。今回、それが知れただけでも、次の作品からはもう少しグラデーションをつけていけるんじゃないかと思います」

 「後半の義時に関しては『自分が演じてきた彼なら、きっとこういう行動に出るだろうな』というのが分かってきたので『とにかく自分は小栗旬という器を使って北条義時という人物になっていけばいい』『それで、そこにいるだけでいい』という感覚になれたのは、ある意味、1つの自信にはなりました。演じるということを超えて、1人の人間を表現するには、僕は不器用なので、1年5カ月ぐらい使わないといけないんだな、とも感じましたね」

 役への“没入”の一例として、第40回「罠と罠」(10月23日)のラスト、和田義盛(横田栄司)との戦が回避され、義時が一人、双六に興じるシーンの撮影秘話も明かした。

 三谷氏が台本の決定稿を修正。当初は義時が鎌倉最大の激戦「和田合戦(和田義盛の乱)」に仕向ける展開の方に比重があったが「最終的には、義時の立場が『畠山重忠の乱』における重忠に置き換わる終わり方になっていて。つまり、重忠は矛を収めるために鎌倉に向かったのに北条が先走ってしまったように、義時として矛を収めたのに和田が早合点して動いてしまった、と。僕も直しの入った方が好みでした。双六のシーンは、それでもまだ和田を倒さないといけないと思っている執権義時なのか、逆に、戦わずに済んで実はホッとしている小四郎なのか、最後の最後まで悩みましたが、結局、双六をしながら内心ホッとした自分がいることに気づく瞬間だったのかな、というふうに演じました。それこそ、その前のシーンで実朝が久しぶりに会えたんだからと義盛を双六に誘って出ていくんですけど、どうして義時は誘われないんだと冗談を言っていたんですよ。義時は誘われなかったから単に1人で双六をしようかなと思ったのかもしれないし、実朝と双六ができる関係になっていたら自分の状況も少しは違っていたと思う瞬間もあったかもしれない。そんなことも考えましたね」

 最終盤も、台詞はなくとも義時の心情がにじみ出るシーンに期待が高まるが「もうバンバンあると思います。この1年5カ月でRPGで言えば、僕、8レベルぐらい上がったと思います(笑)。使える魔法が2つぐらい増えたと思います(笑)」とジョーク交じりに胸を張った。

 =インタビュー(3)に続く=

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