中村吉右衛門さん舞台復帰の夢かなわず 今年3月に心臓発作で救急搬送、懸命な治療も

[ 2021年12月1日 16:52 ]

中村吉右衛門さん
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 歌舞伎俳優の中村吉右衛門(なかむら・きちえもん、本名・波野辰次郎=なみの たつじろう)さんが11月28日、心不全のため死去した。77歳だった。東京都出身。1日、松竹が発表した。葬儀は親族にて執り行われる。今年3月に心臓発作で救急搬送され、療養中だった。

 吉右衛門さんは今年3月28日夜、東京・歌舞伎座での公演に出演した直後、都内ホテルのレストランで食事中に倒れた。関係者によると、居合わせた人により心臓に電気ショックを与えるAED(自動体外式除細動器)による処置が行われ、そのまま近くの病院に緊急搬送された。その後、予断を許さない状況が続いていたが小康状態に。関係者は「一般病棟で現在は舞台復帰に向けて治療に専念しています」と説明していた。

 5月に発表された「七月大歌舞伎」(東京・歌舞伎座、7月4~29日)の配役では、偶数日に第2部「鈴ケ森」の幡随院長兵衛役を務めることが決まり、娘婿の尾上菊之助(43)と共演する予定だったが、直前に休演が発表されていた。

 11年にの人間国宝に認定されや際に「これから先も舞台に対する意気込みや気構えを変えることなく、修行を続けていきたいと思っています」とし「80歳になった時に25日間『勧進帳』の弁慶を勤められたらな、というのが今のところの夢でございます」と話した吉右衛門さん。最後まで舞台復帰を目指し、治療を行ってきたが、その夢はかなうことなく、天国へと旅立った。

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2021年12月1日のニュース