「眠れる獅子」がお目覚めのアーチ プロ注目の慶大・正木智也は死球ニモマケズ

[ 2021年6月12日 17:47 ]

全日本大学野球選手権・準決勝   慶大10―6上武大 ( 2021年6月12日    神宮 )

<上武大・慶大>8回2死一、二塁、広瀬の適時三塁打で生還した慶大・正木はガッツポーズ(撮影・村上 大輔)
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 大会無安打の「眠れる獅子」が痛みに顔をゆがめた。今秋のドラフト上位候補で慶大の4番・正木智也内野手(4年、慶応)は初回、右膝に死球を受けた。今春の東京六大学リーグ戦で4本塁打と12打点で二冠に輝いた右の長距離砲にマークは厳しく、準々決勝から2試合連続の死球。それでも「怖がって踏み込めないことが一番ダメ」と心は折れなかった。

 0―0で迎えた3回1死一塁。上武大の捕手はまたも内角に構えた。サイド右腕・上村のシュートして内角に切れ込む直球に踏み込み「人より強い」と自信を持つリストを返した。白球は左翼席にライナーで飛び込み「体が反応してうまく打てた。全国大会で初めて本塁打を打ったのでうれしい」と喜んだ。

 4番のアーチを皮切りに始まったシーソーゲーム。決着は6―6で迎えた8回に本人がつけた。2死二、三塁から詰まりながらも、左前へ決勝の2点適時打を放ち「(試合を)決める思いは誰よりも強く持っている。決められてよかった」。2安打4打点で10年ぶり7度目の決勝に導き、堀井哲也監督は「本当に4番の仕事をしてくれました」と目を細めた。

 現役最多の東京六大学リーグ戦通算10本塁打を誇る男は全国の舞台で2試合9打席無安打が続いたが、11日の練習で「顔が突っ込んでいた」という打撃を修正して結果につなげた。

 34年ぶり4度目の頂点へ「4番としてチームを引っ張る打撃をして、絶対に日本一になりたい」。目覚めた獅子は王座を見据えた。(柳内 遼平)

 ◇正木 智也(まさき・ともや)1999年(平11)11月5日生まれ、東京都出身の21歳。小2から野球を始める。雪谷中時代は世田谷西シニアに所属し、3年春に全国大会16強。慶応では通算50本塁打。甲子園出場なし。慶大では1年春にリーグ戦デビューし通算10本塁打。1メートル82、87キロ。右投げ右打ち。

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