【一瞬の夏】平田・高橋 亡き弟に捧ぐ全力プレー「自分より野球うまかった」

[ 2020年8月12日 05:30 ]

2020年甲子園高校野球交流試合   平田0―4創成館 ( 2020年8月11日    甲子園 )

<甲子園高校野球交流試合 創成館・平田>亡き弟に捧ぐ全力プレー!8回2死一、二塁、中庭を三ゴロに打ち取る平田・高橋(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 いつだって、一緒にいる。だから、どんなにつらくても頑張れる。「5番・三塁」でスタメン出場した平田・高橋大樹(3年)は試合前のシートノックが終わると、いつものようにグラブケースに入れた弟の写真を手に取り、語りかけた。

 「頑張るぞ、楽しむぞ」

 13年8月8日。野球が好きで仕方がなかった当時6歳の弟・憲史くんとキャッチボール、バッティングをしてから、家族で自宅近くの海へ。2人で泳いでいたが、知らぬ間に沖へ流され、大きな波が襲った。握り締めた手が離れた。それが最後のぬくもりだった。助けられなかった自責の念。小5の高橋にはつらすぎる体験だった。

 再び立ち直ることができたのは、大切な思い出があったから。テレビに映る夏の甲子園。興奮する弟の姿が脳裏に焼き付いた。「僕より野球がうまかった。弟のために、弟の分まで頑張ろうと思ったら、自分には野球しかない」。中学時代は腰を痛めプレーできない時期もあった。イップスにも陥った。そのたびに、あの海へ一人で向かった。「よし、一からやっていこ。見てて」。いつの日からか心で会話をする、力をくれる場所になった。

 3日前の命日。また海へ行って、話した。勇気が湧いた。8回2死からマウンドにも上がり、打者1人を三ゴロに退けた。「最高の舞台でした。うまくいかんこともあったけど、楽しめた。自分のプレーができて頑張ったよ、と伝えたい」。乗り越えたのはコロナだけじゃない。誰しもが経験しないような悲しみに打ち勝ち、強くなった。(北野 将市)

 ◆高橋 大樹(たかはし・だいき)2002年(平14)6月17日生まれ、島根県出身の18歳。小1から野球を始め、大社中軟式野球部でプレー。平田進学後は1年春からベンチ入り。同年秋には背番号1を背負った。2年秋から投手兼三塁手。1メートル68、70キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

「大谷翔平」特集記事

「始球式」特集記事

2020年8月12日のニュース