大船渡、佐々木温存で4強 円陣で託した思い「最後かもしれない。楽しんでやろう」

[ 2019年7月23日 05:30 ]

第101回全国高校野球選手権 岩手大会準々決勝   大船渡6―4久慈 ( 2019年7月22日    岩手県営 )

11回1死、一、三塁、千葉が勝ち越しの適時内野安打を放ち、国保監督(右)とともに喜びを爆発させる大船渡・佐々木(撮影・木村 揚輔
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 第101回全国高校野球選手権(8月6日から16日間、甲子園)は22日、23大会で75試合が行われた。今秋ドラフトの超目玉、163キロ右腕・佐々木朗希投手(3年)を擁する大船渡は岩手大会準々決勝で久慈と対戦。21日の4回戦で194球を投げた佐々木は出場を回避。大黒柱抜きの中、チーム一丸で延長11回の熱戦を6―4で制し、24日の準決勝に駒を進めた。23日は青森大会決勝を含め、34大会で155試合が行われる。

 まるで宝物を得た子供のように、佐々木が跳び上がって整列に向かう。勝った。勝ちきった。仲間たちが必死につないだのは甲子園への道だった。

 「みんなができることを精いっぱいやってくれた。厳しい状況だったけど、最後まで粘り強く戦ってくれた」。佐々木は、ただただ信じていた。最後は左翼手・木下がポール際への大飛球をジャンプしてつかんだ。「一緒に甲子園へ行こう」と大船渡へみんなで進学してから2年半、こんな瞬間を待っていた。

 延長12回、194球の熱投から一夜。トレーナーのマッサージや整体、さらにはストレッチや入浴など回復に努めた。この日の朝の状態では「“行け”って言われたら行けました」というが、最終的に佐々木と国保陽平監督が話し合って出場回避を決めた。選手たちに伝えられたのは試合前の練習のときだ。佐々木は円陣で「一緒にできるのは最後かもしれない。楽しんでやろう」と言った。いつもと同じ言葉が、誰の胸にも重く響いた。

 佐々木から「強い気持ちだぞ」と声を掛けられて先発した大和田が5回まで完全投球。7回に追いつかれても勝ち越しは許さない。8回から無失点救援の和田も「去年の夏は朗希が投げずに負けて“朗希が投げなくても勝とう”と話していた」と続けた。同点の延長11回。1死一塁で右前打でつないだのは、佐々木の幼なじみで4番に入った及川恵だった。二塁強襲の決勝内野安打を放った千葉主将も「朗希に頼り切りだったので、またマウンドに立たせたいと思った」と言った。

 前日の4回戦で負傷退場した今野に代わる7番・一塁の鈴木も2安打1打点に好守も見せた。熱い絆。佐々木は「自分が勝つためにできることをやろうと思った」という。ベンチで声を出し、グラブや水を運ぶひたむきな姿に、仲間は全力プレーで応え、勝った。中2日で、あす24日の準決勝に向かえる。

 「半分以上(疲れは)抜けている。できることをやって、準備したい」。みんなでつないだ夢は「令和の怪物」が正夢にする。 (秋村 誠人)

○…ネット裏では国内6球団7人のスカウトらが視察。注目の佐々木は登板しなかったが、すでにドラフト1位指名を表明している日本ハムは遠藤良平GM補佐と白井康勝スカウトが訪れ、白井スカウトは「これで中2日で連戦になる。どんな投球をするか。その2試合(準決勝、決勝)に注目したい」と話した。

○…エンゼルスの大谷が同郷の大船渡・佐々木にエールを送った。21日の4回戦で、自身が12年に記録した公式戦高校最速160キロに佐々木が並んだと聞き「凄いですね」と声を弾ませた。「そう言うと、自分が凄いみたいになりますけど」とすぐさま苦笑い。映像は見ていないそうで「僕なんかとは比べものにならないと思うので、ぜひ頑張ってほしいけど、ぜひ母校(花巻東)に(甲子園に)出てほしいかなとは思います」と話した。大船渡、花巻東ともに準決勝進出を決めている。佐々木が右翼へ決勝2ランしたことを振られると「僕はライトに打てないので教えてほしいですね」と話した。

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