【中畑清 キヨシスタイル】高校野球を完全燃焼してほしい…球数制限には反対

[ 2019年7月23日 09:30 ]

中畑清氏
Photo By スポニチ

 高校野球は一定期間の投球数を制限する方向で検討が進められ、来春のセンバツから導入される見通しらしい。甲子園に行ってしまえば、それでいいかもしれないが、現在全国で行われている夏の地方大会はどうなるんだろうか。

 結論から言って、球数制限には反対だ。

 日本にしかない高校球児の聖地。甲子園を目標にして厳しい練習に耐えてきた高校生活最後の夏をどう終えるか。人生においてとても大切なことだ。やり切った充実感を持って終われれば、敗れたとしても今後の糧になる。逆にルールによってエースが登板できず、中途半端な形で悔いを残させるのは残酷だ。

 もちろん故障させていいなんて思ってないよ。故障を未然に防ぐべく準備することは必要だ。でも故障を怖がっていたらスポーツはできないし、故障したら終わりだって決めつけないでほしい。故障しても、それを克服している選手はたくさんいるんだから。

 野球は「人づくり」に最適なスポーツだ。団体生活の中でルールを重んじ、相手に敬意を持ち、自己犠牲の精神を学ぶ。人間社会に必要な心構えを教えてくれる。肉体的にも精神的にも成長期。社会に出て壁にぶち当たっても乗り越えられる強さを身につけるためにも高校野球を完全燃焼してもらいたいんだ。

 エース級が2人も3人もいればいいけど、そんな高校はほとんどないからね。球数制限が導入されたら、選手層の厚い強豪校がますます有利になる。野球は投手さえよければ弱小チームが強豪に一泡吹かせることもあるスポーツだけど、その可能性は少なくなるね。

 甲子園を目指す有望選手は強豪校に集中し、そこに入れなければ、夢が持てなくなる。一番大事なのは自分の目標に向かって頑張っていくプロセス。球数制限はそのプロセスを奪いかねない。最初から敗者を決めてしまうルールに思えてならないんだ。

 高校をプロ野球選手やメジャーリーガーの養成所と考えるなら、球数制限は必要かもしれない。でも、高校野球は人づくり、人間教育の場であってほしい。その観点から全ての球児が夢を持てるルールを検討していただきたい。 (本紙評論家・中畑 清)

続きを表示

「大谷翔平」特集記事

「始球式」特集記事

2019年7月23日のニュース