「どうする家康」女優30年 松嶋菜々子の現在地「自信ない」も“正解なき世界”の面白さ 大河母役に感慨

[ 2023年1月22日 20:45 ]

「どうする家康」於大の方役・松嶋菜々子インタビュー(下)

「どうする家康」で21年ぶりの大河ドラマ出演、主人公・徳川家康の母・於大の方役に挑む松嶋菜々子(C)NHK
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 嵐の松本潤(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜後8・00)は22日、第3話が放送され、主人公・松平元康(のちの徳川家康)が生き別れた母・於大の方と16年ぶりの再会を果たした。於大役の女優・松嶋菜々子(49)は実に21年ぶり2回目の大河出演。昨年、女優デビュー30周年を迎えた松嶋に現在の心境を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどのヒット作を生み続ける古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河“初出演”にして初主演となる。

 松嶋の大河出演は唐沢寿明とダブル主演を務めた2002年「利家とまつ~加賀百万石物語~」以来。松本とは4回目の共演だが、初の母子役となった。

 「時代劇は着物やかつらも大変なんですけど、『利家とまつ』は長丁場だったので、かつらで髪の毛を引っ張れられて首は痛くなるわ、背中は痛くなるわで(笑)、体に負担がかかったのを覚えていました。今回は撮影に入る前に、首や背中を鍛える準備ができましたし、もちろん所作をはじめ、当時の経験が今回にも生かされていると思います」

 巨大LEDパネルを用いた撮影技術や口語調の古沢脚本などは「新鮮味があります」とし「今回は女性のスタッフさんが多いと思いました」と大河ドラマの変化も感じ取った。

 モデル業からスタートし、1992年に女優デビュー。96年前期のNHK連続テレビ小説「ひまわり」のヒロインに抜擢され、フジテレビ「救命病棟24時」シリーズや月9「やまとなでしこ」、TBS「魔女の条件」、最終回視聴率40・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した日本テレビ「家政婦のミタ」など数々の話題作を生んだ。

 19年前期「なつぞら」にはヒロインの母親役でレギュラー出演。23年ぶり2回目に朝ドラ出演を果たした。今回の大河帰還により、朝ドラのヒロイン&ヒロインの母親役、大河の主演&主人公の母親役と4つの大役を制覇した。

 朝ドラや大河は「やはり自分にとって一つの節目や目標といいますか、自分の立ち位置を確認できる場所といいますか、そんな作品です。自分は一つ一つの作品に向き合って、ただただ走ってきただけなんですけど、ありがたいことに『なつぞら』から間を置かずに今度は大河ドラマのお母さん役を、しかも今年50歳になる年に頂いて、凄く感慨深いものがあります」としみじみ。

 30年にわたる女優業キャリアについて水を向けると「これまで何周年とか考えたこともなかったので、今、ご質問を頂いて気がついたぐらいです(笑)。ただ、30年経っても役者としては何の自信もついていなくて」と切り出した。

 「60歳まで続けたとしても、70歳まで続けたとしても、たぶんきっと自信がないんだろうなと思います。演じるということは、そうやってずっと苦しんでいくものなのかなと少し引いて自分を客観視できる年齢になってきたと感じてはいます。自分が納得したシーンも、そうじゃないシーンも、きっと伝わり方は人それぞれですよね。ファンの方から『あのシーンは、こういう気持ちで演じられていたんですよね』とお手紙を頂いて、私の役柄が見てくださっている方の中でどんどん膨らんでいて、その方のものになっていることに気づいた時、お芝居で1個の正解を追い求めるのは違うんじゃないかなと思えるようになりました。正解がない世界なんですけど、それでも挑戦し続けるのが、この仕事の大変なところでもあり、面白いところなのかなと思う今日この頃です」

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