加藤登紀子 「紅の豚」声優で36回もダメ出しされたシーン「相当なメッセージを込めてる」

[ 2023年1月22日 21:11 ]

加藤登紀子
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 シンガー・ソングライターの加藤登紀子(79)が、22日放送のBSフジ「霜降り明星のゴールデン☆80’S」(日曜後8・00)にゲスト出演し、スタジオジブリの大ヒットアニメ映画「紅の豚」にまつわるエピソードを語った。

 92年公開の同作で、加藤は主題歌「さくらんぼの実る頃」を歌っただけでなく、ヒロインのマダム・ジーナの声優も担当。エンディングテーマ「時には昔の話を」も歌唱した。

 出演は宮崎駿監督からオファーを受けたという。「宮崎さんが“フランス語で『さくらんぼの実る頃』を歌ってくれませんか?で、声の出演をして下さい”っていうふうにお話があって」。公開の1年ほど前、宮崎監督の前で、歌唱シーンをVTRで撮影したが、その後に驚きの出来事があったという。「画を撮るための仮録音だと思っていたんだけど、見たら予告編で流れて」。宮崎監督に「あれって本チャンのレコーディングだったんですか?」と慌てて電話すると、監督からは「いや、あれで十分。あれで最高です」と返されたという。加藤は「スタジオで撮ってないというのも、宮崎さんは狙っていたのかもしれないですね。昔のラジオから聞こえてくるような(音質で)」と推測していた。

 対照的に、声優の方は大苦戦したエピソードがあるという。「電話口で“馬鹿っ”て、(主人公の)ポルコに怒鳴りつけるシーン、あの“馬鹿っ”だけは36回やりました」。自分勝手なことを続けてきたポルコに、ジーナが本気で怒る場面で、監督からは「ダメです。本気で怒って下さい」と何度もやり直しを食らったという。

 せいやから「34回目くらいで監督に“馬鹿っ”ってなりませんでした?“馬鹿っ。何回やらすねん!”って」とジョークをまじえて問われると、加藤は「おもしろかったんです。今まで、ありとあらゆる出来事の、男たちがやってきた馬鹿…とか戦争とか。“アホなことばかりやってきて。全身全霊の怒りを込めて言って下さい”って」と答えていた。36回目でようやくOKが出たそうで、「馬鹿っていう言葉の中に、相当なメッセージを込めてるんですよね」と、宮崎監督のこだわりに理解を示していた。

 ジブリがスタジオを建てた際、加藤は「馬鹿っ」としたためた書を贈ったという。宮崎監督からは「いつも登紀子さんに叱られています。毎日叱っていただいてありがとうございます」と、感謝の言葉をかけられたことを明かした。

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2023年1月22日のニュース