ヤクルト石川 球団史に輝く小兵左腕が勝てる理由

[ 2020年10月1日 12:02 ]

<D・ヤ20>今季初勝利を挙げたヤクルト先発の石川(撮影・島崎 忠彦)
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 紙面に載せきれなかったデータがある。西武が「西武ライオンズ」として所沢に移転した79年から42年目で、通算3000勝に到達した9月23日に用意したもの。この間で最も白星を挙げた投手は誰か、というデータだ。

 トップは西口文也(現投手コーチ)の182勝。渡辺久信(124)、東尾修(123)、郭泰源(117)、工藤公康(113)と、そうそうたる顔ぶれが続き、80~90年代の黄金時代を思い起こさせる。

 9月30日のDeNA戦で、ヤクルトの石川雅規投手(40)が今季初勝利を挙げた。今季の開幕投手では12球団大トリとなったが、好投しながら勝ち星が付かない試合も何度かあった。球団生え抜きでは初の40代勝利投手、入団から19年連続白星は、紛れもない偉業。そして何より、現役最多の日本球界通算172勝(歴代40位タイ)という数字を忘れてはならない。1メートル67、73キロという球界屈指の小兵が積み上げた。

 サイズに恵まれないだけでなく、身体能力でも突出した数値はない。しかし、肩肘を含め、大きな故障をすることなく、結果を残し続けてきた。球団関係者は「自分の体を自分で把握し、年齢に応じて新しいものを取り入れる意欲がすごい」と舌を巻く。近年はファスティング、ヨガなどを導入。若手選手が取り組むトレーニングや調整法も、自身のためになると思えば試す。変化を恐れない姿勢が、石川を支えている。

 ヤクルトは西武と違い、前身球団からの本拠地移転を経験していないが、「ヤクルトスワローズ」となった74年から今季で47年目。約半世紀の間で、最も白星を挙げている選手は石川だ。松岡弘が127勝(「アトムズ」時代に64勝)、尾花高夫が112勝で続く。

 失礼ながら決して常勝とは言えないチーム一筋でプレーし、レジェンドと呼ぶべき成績を残している左腕。技術の粋が詰まった投球を、まだまだ見せてほしい。(記者コラム・大林 幹雄)

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