尽誠学園・福島 脱毛症乗り越え夢舞台でプレー「同じ病気の子に勇気を与えられた」

[ 2020年8月17日 16:17 ]

2020年甲子園交流試合   尽誠学園8―1智弁和歌山 ( 2020年8月17日    甲子園 )

<高校野球交流試合 尽誠学園・智弁和歌山>守備位置からベンチへ引き揚げる尽誠学園・福島(撮影・河野 光希)
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 たとえ打順が下がっても、夢の舞台は格別だった。県の代替大会では主に7番で出場していた尽誠学園・福島武颯士(むさし=3年)は「9番左翼」でフル出場。2打数無安打も2回1死二、三塁から死球で好機を拡大し、一挙5点の猛攻を呼んだ。

 「自分がどこを守っているかわからないぐらい、甲子園は広かった。同じ病気の子にも勇気を与えられたと思います」

 プレーに何ら支障はないが、小学生の頃から脱毛症を抱える。高校の入学式直前の説明会。帽子をかぶって行ったが、西村太監督(41)から「入学式の時は帽子を取って、勇気を振り絞って来い」と通達された。いい気持ちはしなかったが、いざ当日行ってみると、仲間からは特段、病気について触れられることはなく優しく接してくれた。自分だけでなく、家族を責めたこともあったが、胸につかえていたものが、スッと消えた。

 母・真由美さん(48)の弟がオリックス、巨人で通算1928安打を放った谷佳知氏。小学5年生のとき、親戚の集まりでティー打撃を見たときの打球音とどっしりした下半身は、今でも鮮明に覚えている。夏の全国選手権中止が決まった際には「大学でも野球を続けるんだから、乗り越えろ」と激励を受けた。89年に「1番右翼」として夏4強に貢献した同校の先輩でもある叔父さんにも、胸を張って特別な夏の経験を報告するつもりだ。

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2020年8月17日のニュース