ロッテの光速王子・和田康士朗 プロ初先発初安打どころか…3安打3盗塁3得点! 12盗塁はパ最多タイ

[ 2020年8月17日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ6―5日本ハム ( 2020年8月16日    ZOZOマリン )

<ロ・日>打って走って和田劇場だ!5回裏1死三塁、マーティンの内野ゴロで本塁へ突入、ミットをはじき飛ばして生還する和田(撮影・長久保 豊)
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 ロッテの和田康士朗外野手(21)が16日の日本ハム戦に「1番・中堅」でプロ初先発出場。初回に初球を中前打すると、二塁盗塁に先制の生還。3、5回にも安打、二塁盗塁、本塁生還と、3安打3盗塁3得点を記録した。12盗塁はリーグトップタイとなった。3年目の今年、育成から支配下登録された和田は埼玉・小川時代は陸上部。「異色のスピードスター」が躍動した。

 塁に出たら走る。和田も使命だと心得ている。初回先頭でバーヘイゲンの初球を中前へ運ぶ。「直球に絞った。変化球が来たら仕方ない。投手の足元を抜けた瞬間、ヒットだと分かった」。プロ6打席目での初安打だが、余韻に浸ることはない。次打者・中村奨の初球に二塁盗塁を決めた。

 埼玉・小川高時代には陸上部に所属。50メートル5秒8の快足だが、中学時代の仲間が甲子園を目指す姿を見て陸上部をやめた。社会人の都幾川倶楽部で野球を再開し、高校卒業後はBCリーグ富山で腕を磨いたが、陸上での経験はプロで生きる。

 3、5回も安打から、初球に二塁盗塁を決めて本塁へ生還した。短距離のスタートのような低い姿勢からすぐにトップスピードに乗ることができる。「なるべく(上体を)起き上がらせない。ずっと下を向いている」。そんな極意が詰まっていたのは、三塁走者として、5回1死三塁からのギャンブルスタートだ。打球は前進守備での遊ゴロだったが、低い姿勢のまま「一度もしたことがない」というヘッドスライディングで飛び込んだ。決断、反応、スピードは日本ハムの想定を上回っていた。

 ロッテ外野陣はリードオフマンの荻野が右太腿を痛め離脱。ソフトバンクからFA移籍してきた福田秀の調子も上がらない。この日のロッカールームに貼られたスタメン表を見た和田は驚いた。「間違いでは…」。試合前にうどんを口にしたが、喉を通らない。何度もトイレに駆け込むほど緊張したが、試合では別人だった。

 17年の育成ドラフト1位も、3年目を迎えた春季キャンプで本音もこぼしていた。「育成選手は3年で契約が切れる。正直、焦っています」。そんな苦労人が開幕前に支配下登録を勝ち取り、本拠地のお立ち台に立った。

 「プロの世界に経歴は関係ない」。リーグトップタイの12盗塁。代走のスペシャリストだけではもったいない。そう思わせる魅力が和田にはある。 (横市 勇)

 《パ最多タイ今季12盗塁》和田(ロ)が1試合3盗塁で今季12盗塁。盗塁数で荻野(ロ)、西川(日)に並ぶパ・リーグトップに浮上した。和田は6月24日のオリックス戦で盗塁死して以降は11度連続成功しており成功率は.923。トップの3人の中では最も高くなっている。また、この日はマーティンも3盗塁。ロッテの1試合6盗塁は06年10月1日の楽天戦以来14年ぶり。2人で6盗塁は58年5月21日の近鉄戦(佐々木信也4、衆樹資宏2)以来62年ぶりとなった。

 ◆和田 康士朗(わだ・こうしろう)1999年(平11)1月14日生まれ、埼玉県東松山市出身の21歳。市の川小4年で野球を始め、東松山北中では軟式野球部に所属。小川高では股関節痛のため野球は断念し陸上部に入部したが、1年冬から硬式クラブチームの都幾川倶楽部硬式野球団で野球を再開。BC・富山を経て、17年育成ドラフト1位でロッテ入団。今季6月1日に支配下選手となった。1メートル85、72キロ。左投げ左打ち。

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