「先生」日本ハム・栗山監督 “嫌われ役”徹する裏にある信念

[ 2020年8月17日 09:00 ]

監督通算600勝のボードをかざす栗山監督
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 8月15日のロッテ戦で球団史上2位となる監督通算600勝を達成した日本ハム・栗山監督。「親分」こと大沢啓二氏が持つ631勝の球団記録更新も視野に入ってきた。

 栗山監督は「親分と言われる人たちは、例えば長嶋(茂雄)さん、王(貞治)さん、星野(仙一)さん、野村(克也)さんだったり、そういう存在だよね。だから、ちょっと(自身とは)異次元な感じがしている。そういう方を意識した部分は一度もない」という。

 記者の栗山監督のイメージは「親分」ではなく、生徒に親身に寄り添う「先生」。コロナ禍でプロ野球の開幕が遅れ、自主練習が続いた期間中のオンライン取材では、担当記者の人間的成長を願い、毎回指揮官の推薦図書を紹介してくれた。「謙そんではなく、(監督勝利数は)長くやれば当然、数は増えていくもの」。自身の記録は選手が積み上げてきてくれたもの、との考えだ。

 16日付の通算600勝を伝える本紙記事で、栗山監督が今春キャンプ中の監督室の黒板に「大善とは非情なり、小善とは大悪なり」と記したエピソードを紹介した。厳しく選手に接すれば非情と思われるかもしれないが、数年後には能力が開花するきっかけとなるかもしれない。一方で優しさが、実は選手の成長を妨げることになっているかもしれない、との思いからだ。記事では紹介しきれなかったが、指揮官は嫌われ役になってでも選手に成長する手助けをしたい一心なのだ。その心境を、こう明かす。

 「今は不安ばっかりしかないわけよ。自分がやっていていいのかな、って。でも、俺が死ぬときにさ、今の若い選手たちが“監督、ありがとう”って言ってくれたら。言ってもらえるように頑張るしかないわけじゃん。だから今、厳しくやらなきゃいけない。今は伝わらなくても、本当に、嫌な思いさせても何とかしてあげなきゃいけない部分もいっぱいある。今の“ありがとう”が一番大きな間違いを起こす。今はどうなってもいい、っていうのだけはちゃんと守らないといけないことだと思ってやっている」

 栗山監督への「ありがとう」が増えれば増えるほど、まだまだ白星は積み重なるはず。チームを勝たせるため、一人でも多くの選手を幸せにするため、指揮官は心を鬼にして選手に全力で向き合っていく。(記者コラム・東尾 洋樹)

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