鈴木啓示氏 阪神・藤浪は必ず勝てる 援護を求めるならリズム肝心

[ 2020年8月6日 06:30 ]

セ・リーグ   阪神1-4巨人 ( 2020年8月5日    甲子園 )

スポニチ評論家の鈴木啓示氏
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 【鈴木啓示 視点】約2週間前に見た藤浪の今季初登板では上半身と下半身のバランスが悪く、腕ばかりに頼った投球と評した。この日は上半身と下半身のバランスがよかった。余計な気負いが見受けられず、それでいて強い球を投げられていた。

 見た目は「八分」の力の入れ具合でも、球がピュッと来ていた。そのコツをつかめば制球も安定する。頭のブレも少ないと感じた。悪い時はかつての巨人・堀内のように投げた後に帽子を飛ばしてしまう印象がある。制球のいい投手は帽子を飛ばさない。投げ初めから投げ終わるまで捕手のミットから目を離さないからだ。制球が安定した一因と言えるのではないだろうか。

 ただ、長らく勝てていないということもあり、ちょっとしたピンチでも力が入ってしまう。そうなると腕に頼るため、打者はタイミングを取りやすくなる。6回に2点二塁打を浴びた岡本の打席は、まさにそうだった。

 藤浪は投球のバランスに加え、先制を許した後も我慢強く投げられていたが、打線の援護に恵まれなかった。それを求めようと思うと、やはりリズムが肝心だ。往々にして、いい投手が投げる試合は打線の援護を受けやすく、ファインプレーも出やすいという。守備の時間が短くなり、攻撃にリズムが生まれるからだ。藤浪は先制を許した3回は先頭打者にストレートの四球を与え、3失点の6回も自らのミスで先頭打者の出塁を許した。そういう部分が反省点と言えるだろう。

 とはいえ、総じて、投げるたびに状態はよくなっている。プロ野球選手というのは極端に言えば、人間的に好かれなくても、「打ってやろう」「守ってやろう」と思わせる姿勢があればいい。この日の藤浪には、そう思わせるものがあった。今は勝ち星から遠ざかっているため、弱気になる部分がある。まずは我慢強い投球を続けることに集中すれば、近いうちに必ず勝てる。

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