智弁和歌山V 顔面骨折から復帰したサングラス綾原創太がだめ押し3ラン

[ 2020年8月6日 17:54 ]

和歌山大会決勝   智弁和歌山10―1初芝橋本 ( 2020年8月6日    和歌山市・紀三井寺 )

<智弁和歌山・初芝橋本>5回2死一、二塁、智弁和歌山・綾原(右)は左越えに3ランを放ち、ポーズを決める(撮影・坂田 高浩)
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 傷を負ったその目で、スタンドに入る瞬間を見届けた。智弁和歌山の2番・綾原創太二塁手(3年)が5回2死一、二塁から左翼へ3ラン。代わったばかりの初芝橋本の右腕・大西慧尚投手(2年)のチェンジアップを引っ張り、10―1と大きく突き放した。守っては、4、7回に難しい打球を軽快にさばいた。攻守で優勝を支えた。

 「大会を通じて無失策は、自信になった。(決勝の本塁打と)両方うれしいです」

 どん底からはい上がって来た。昨秋の近畿大会準々決勝、智弁学園戦の初回。打球を右目付近に受け、試合中に病院へ救急搬送された。目の周囲を5カ所骨折。手術をして、2週間の入院生活を送った。一時は「視力が落ちた。ぼやっとしていた」と復帰できるかどうか、不安を抱いた。

 昨年12月に練習に合流しても、最初はうまくいかなかった。「打球がすごく怖かった」。下級生からポジションをつかんだ名手が、緩い球を繰り返し、繰り返し捕る練習に明け暮れた。「基礎からでした。数をこなすしかなかった」。打球スピードには1カ月ほどで慣れた。視力も元の1・5に回復していた。ただ、別の後遺症と付き合っていかねばならない運命が待っていた。

 目に入る光量のコントロールが難しくなり、日中は「まぶしくて」サングラスが欠かせなくなった。この日の本塁打も、サングラス越しにボールを見て放ったものだ。

 サングラスは、目の症状を知ったチームメイトが、昨年暮れにプレゼントしてくれた。「うれしくて大切にしている」。苦楽をともにした仲間とつかんだ和歌山独自大会の頂点。メガネ焼けをした顔が、誇らしげだった。

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2020年8月6日のニュース